主人公エイリッドの生きる近代イギリス風の国と、彼女が憧れる遥か彼方の中華風の大東国――大東国は遠くにあってエイリッドの国とは何もかも異なるのに、彼女が父の贈り物の机で300年も前の大東国の妃・雪月の日記を見つけた時から、二つの世界が少しずつ重なっていく。奇妙なことに遥か昔の遥か遠くで起きたことがエイリッドの身近でも起こり始めるのだ。そのスリリングな展開には、読み進めるたびにハラハラドキドキする。
イギリス風世界と中華風世界の両方の描写はとても巧みで惹きこまれる。エイリッドの幼馴染のサイラスのことや、女性の地位が低い社会でのエイリッドの奮闘も興味深い。
本作を最後まで読めば、雪月のたどった運命は分かってしまうだろうが、雪月を主人公にした物語も読みたくなった。
遥か遠い大東国に憧れる、外交官の娘エイリッド。
彼女はある日、父から大東国の精巧な作りのアンティークのテーブルをもらう。
このテーブルの中に隠すように入っていた、一冊の書物。
紐で閉じた相当に古い書物は、どうやら三百年近く前に滅んだ王朝、その皇帝の妃妾の手によるものだった。
その書物に夢中になるエイリッドでしたが。
その書物を読み始めてから、エイリッドの周りで変化が起こり始める——。
エイリッドの物語と、書物の中の物語が同時に進行するのですが、この書物の文章が抜群に素敵で、読んでいるだけでうっとりします。
どうか皆様にもこの体験を味わっていただけたらと思います!