第2話 私の名前は,中岡正章です。

「変態ですが,人選ミスなのではないでしょうか。」

「ここは、一体……」

 少女の言葉が響く中、俺はようやく口を開いた。混乱しているのは確かだが、少しでも状況を把握しなければならない。

「ここは『ナンデヤネン』と呼ばれる世界です。勇者様、あなたはこの世界を救うために召喚されました。」

「ナンデヤネン……? 召喚……?」

 頭の中でその言葉がぐるぐると回る。俺はゲームの中でも、漫画の中でもない、現実で「異世界転生」してしまったというのか? しかも『ナンデヤネン』という世界だと?ふざけているとしか思えなかった。しかしその少女の表情は真剣そのものだった。

「勇者様、この世界には『魔王』という存在がいます。彼の力は恐ろしいもので、各地を破壊し、人々を苦しめています。長きに渡って、我々は魔王を封じてきましたが、その封印が弱まりつつあるのです。そこで、異世界から強力な力を持つ存在……つまり、あなたを召喚したのです。」

 少女の話を聞きながら、俺は眉をひそめた。魔王? そんな話、ゲームやライトノベルではお決まりの展開だ。だけど、現実の自分がその役割を担うなんて、どう考えても無理だろう。だって俺はただの変態だからだ。

「ちょっと待ってくれ。俺、そんなことできるような人間じゃない。ただの変態だし、戦いなんて……」

 自分の手元を見る。そこに握られている古びた剣は、重く冷たい。

「自分のチ〇コを握っていた方がしっくりくる人間だぞ。自分が「勇者」なんて称号を背負えるはずがない!」

 心の中で、否定する気持ちが強くなる。

 だが、少女は静かに首を横に振った。

「勇者様、確かにあなたは今、ただの変態かもしれません。しかし、この世界における『勇者』の力は、あなたの中に眠っているのです。ステータスを見てください。あなたにはその力が備わっているはずです。」

 再び、あの音——ピンポーン——が頭の中で鳴り、俺の視界には再びステータスウィンドウが表示された。今度は、詳細な情報が見える。


【ステータス】

【勇者:斉藤一樹】

【レベル:1】

【力:1】

【敏捷:1】

【耐久:999999】

【魔力:0】

【スキル:『言語理解』『絶倫』】


 俺は思わず声に出していた。ゲームのような要素が本当にあるのか? というかステータス弱すぎるだろ。確かに俺は変態だが絶倫以外にも何かあるだろ。現実に起きているこの異常な状況を前に、全てがカスに見えた。

「ちなみに村人のステータスを教えてくれ。」

「はい、勇者様。そこら辺にいる村人は


【ステータス】

【村人:リチャード・ミラー】

【レベル:5】

【力:324】

【敏捷:38】

【耐久:5】

【魔力:0】

【スキル:なし】


 このようになっております。これを見るとわかるようにスキルは勇者様ぐらいしか持っていない力です。特に『異世界言語理解』は、この世界の人々と問題なく会話ができる力です。」

 確かに、少女の言葉は最初から日本語で理解できているように感じていたが、それがスキルの影響だったということか。少しずつ、この世界のルールがわかってくる。

「……わかった。まだ完全には納得できないけど、とりあえず今は信じるしかないな。」

 俺は息を深く吸い込んだ。頭の中は混乱しているが、ここで立ち止まっていても何も進まない。まずは、この状況に適応するしかないのだ。

「ありがとう、少し落ち着いたよ。で、君の名前は?」

 少女は微笑み、優雅にお辞儀をして答えた。



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俺は変態度だったら誰にも負けません。  P48ですが何か? @p-48

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