第二章 - 虚実の防壁3
カイル・オースティンは、仮想世界のセキュリティ強化に全力を尽くしていた。
そんな中、彼のチームはレジスタンスの拠点の一つを突き止める手がかりを掴んだ。
それは、仮想世界への直接攻撃を計画している中心人物が潜伏している場所だった。
カイルはすぐに行動を開始した。
彼はエミリーと共に、精鋭の特殊部隊10人を率いて現地に向かうための準備を整えた。
「この任務は危険だが、成功すれば彼らの計画を阻止できる。全力で行くぞ」
エミリーも決意の表情でうなずき、チーム全員が最新の戦闘装備を身に着けて車に乗り込んだ。
現地に到着すると、廃工場のような建物が見えてきた。
カイルとチームは慎重に周囲を確認し、少しの物音も立てずに進んでいった。
エミリーが超小型ドローンを飛ばして内部の様子を探ると、複数の武装した敵がいることが分かった。
「気をつけろ、内部には多数の敵がいる」
とカイルがチームに伝えた。
「突入準備!」カイルの指示で、チームはドアの前に集まり、突入の合図を待った。
「今だ!」とカイルが叫ぶと、爆薬でドアを破壊し、一斉に突入した。
内部で待ち受けていた敵との銃撃戦が始まり、激しい戦闘が繰り広げられた。
チームは分隊に分かれ、手際よく建物内を制圧していった。
カイルは冷静に指揮を執り、次々と敵を制圧していった。
エミリーは後方でサポートしながら、監視システムをハッキングして内部の動きをリアルタイムで把握していた。
「右側に2人、左の廊下に3人いるわ」とエミリーが情報を伝え、チームは効率的に敵を排除していった。
ついに、レジスタンスのリーダーがいるとされる部屋の前に到達した。
カイルは手信号で部隊を配置し、慎重にドアを開けた。
中に突入すると、予想を超えた光景が広がっていた。
部屋には複数のコンピュータと高度な通信機器が並び、中央には一人の男が座っていた。
彼はカイルたちに気づき、冷ややかな笑みを浮かべた。
「ようこそ、カイル・オースティン」
男が言った。
「お前がリーダーか」
カイルが問いただすと、男はうなずいた。
「その通りだ。君たちの仮想世界に依存する社会を破壊し、真の自由を取り戻すために戦っている」
「そのために無実の人々を危険にさらすのか」とカイルは声を荒げた。
「君のやり方は間違っている」
男は冷ややかに笑った。
「君たちが支配する仮想世界こそが間違っている。だが、もう遅い。攻撃は既に始まっている」
「どういうこと? 何を企んでいるの?」エミリーが問い詰めた。
男はにやりと笑い、「私たちは仮想世界のセキュリティプロトコルにウイルスを仕込んだ。
そのウイルスは、仮想世界の根幹を揺るがし、全てを崩壊させるだろう」と答えた。
その瞬間、カイルは通信機器に向かって叫んだ。
「本部、こちらカイル!緊急事態だ!仮想世界にウイルスが仕込まれている!」
カイルは即座に無線で全員に警戒を呼びかけ、リーダーを拘束するよう指示した。
エミリーが迅速にコンピュータを調査し、攻撃の詳細を解析し始めた。
「カイル、ここに全ての証拠があるわ。これで奴らの計画を完全に阻止できる」
エミリーがさらに調査を進めると、仮想世界に仕込まれたウィルスの詳細が明らかになった。
「これが発動すれば、仮想世界全体が大混乱に陥るわ」
カイルは緊急対策を講じるため、直ちに本部に連絡を入れた。
「ウィルスの除去には時間がかかるな。だが、必ずやり遂げてみせる」
彼は強い決意を示した。
ひとまず任務を終えたカイルとチームは、疲れ切った表情で基地へと戻った。
彼は仲間たちに感謝の意を表しつつ、次なる脅威に備える決意を新たにした。
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