第二章 - 虚実の防壁4

 カイルは仮想世界のセキュリティオペレーションセンターに戻ると、直ちにエミリーと共にウイルスの除去作業に取り掛かった。

彼らはウイルスが仕込まれたコードを解析し、その破壊的な能力に驚愕した。

このウイルスは、仮想世界の基盤を揺るがすだけでなく、データの消失やシステムの暴走を引き起こす可能性があった。


「エミリー、ウイルスの拡散を防ぐために、まず感染箇所を特定しよう。予防措置を講じながら、徐々に除去していく」


カイルが指示すると、エミリーは素早く動き出した。

「了解、カイル。感染源は仮想世界の通信プロトコルに深く埋め込まれてる。手ごわいわね」


 作業は一刻を争うものであり、時間との戦いだった。

ウイルスが発動すれば、仮想世界内の数十億人の命が危険にさらされる。

カイルとエミリーは、昼夜を問わず作業を続けたが、ウイルスの巧妙な設計と予想以上の複雑さに手こずっていた。


「カイル、これを見て。ウイルスは自己修復機能を持ってる。私たちが除去しようとするたびに、別の場所に拡散して再構築されてる」

とエミリーが疲れた声で報告した。


カイルは額に手を当て、深いため息をついた。

「何てこった、こんな手強い奴は見たことがないな。だが必ず突破口はあるはずだ。あきらめるな」


 その時、カイルの通信端末が緊急警報を発した。

「カイル、こちら本部。新たな攻撃が進行中だ。レジスタンスの残党が別のデータセンターを狙っている」


「何だと! まさか二重の攻撃計画だったのか」

とカイルは叫んだ。


「エミリー、ここは頼んだ。私は特殊部隊と合流して新たな攻撃を阻止する」

エミリーは頷き、作業を再開した。


 カイルが現場に到着すると、レジスタンスのメンバーがデータセンターに侵入しようとしているのを確認した。

カイルは即座に指示を出し、特殊部隊が周囲を包囲し、レジスタンスの進行を阻止するための作戦を展開した。


「ここを突破されれば、仮想世界が完全に崩壊する危険がある。絶対に阻止する!」


 特殊部隊とレジスタンスの間で激しい銃撃戦が始まった。

カイルは冷静に指揮を執り、的確な指示で部隊を動かした。

戦況は激化する中、カイルは一瞬の隙を突いてレジスタンスのリーダーに接近し、銃を突きつけた。


「ここで終わりだ。お前たちの計画は失敗だ」


 レジスタンスのリーダーは冷笑を浮かべ、

「仮想世界に依存するお前たちには、真の自由など理解できないだろう」

と言い放った。


 カイルは冷たい目でリーダーを見つめ、

「それがお前たちの正義か! だが、その代償に無実の人々の命を奪うことなど、断じて許さん!」

と言い返した。


 その後、特殊部隊はレジスタンスのメンバーを次々と制圧し、攻撃を阻止することに成功した。

カイルは安堵の息をつきながらも、ウイルスの除去作業がまだ終わっていないことを思い出し、再びエミリーのもとへと向かった。

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