第一章 - 二つの世界1

 リオは目を覚ますと、いつもと同じ部屋の天井が見えた。

朝の光がカーテン越しに差し込み、彼女の顔を優しく照らしている。

ベッドから起き上がり、窓を開けると、清々しい風が部屋に流れ込んできた。

鳥のさえずりが遠くから聞こえ、穏やかな一日の始まりを告げている。


「おはよう、リオ」

母の声がキッチンから聞こえた。

朝食の準備をしている音とともに、温かい匂いが漂ってくる。


「おはよう、お母さん」

リオは笑顔で応えながらキッチンに向かった。

テーブルには、お母さんが作った新鮮なサラダとトースト、そして彼女の大好きなフルーツジュースが並んでいた。


 朝食をとりながら、リオは学校のことを考えていた。

友達と過ごす時間や、好きな先生の授業、新しい課題に取り組む楽しさ。

彼女の生活は充実していて、毎日が新しい発見に満ちていた。


「今日は学校で何をするの?」

母が尋ねた。


「今日は科学の授業で実験があるの。とても楽しみだわ」

リオは答えた。


 朝食を終えると、リオは学校へ向かった。

街はいつも通りの賑わいを見せていた。

人々は笑顔で挨拶を交わし、車やバスが行き交う。

公園では子どもたちが遊び、大人たちはジョギングを楽しんでいた。


 学校に到着すると、友達のアヤが待っていた。

「リオ、おはよう!今日は実験の助手をするんでしょ?」


「うん、そうよ。早く行こう!」

二人は手をつなぎ、教室へと駆け込んだ。


 授業が始まると、リオは先生の指示に従い、実験の準備を始めた。

化学反応の観察やデータの記録に夢中になり、時間はあっという間に過ぎていった。

彼女の頭の中には、未来の科学者としての夢が広がっていた。


 放課後、リオは友達と一緒にカフェに立ち寄った。

彼女たちは笑いながらおしゃべりを楽しみ、次の週末に計画しているピクニックの話で盛り上がった。


 家に帰ると、リオは家族と夕食をとり、その後は宿題に取り組んだ。

部屋の中は暖かく、外の風景は月の色に染まっていた。

窓の外には星が瞬き、リオは一日の終わりを静かに迎えた。


「今日も充実していたわ」

リオは心の中でつぶやきながらベッドに入った。

彼女の世界は平穏で美しく、何の疑問も持たないまま、次の日への期待を胸に眠りについた。


 リオは知らない…彼女が暮らしているこの世界が、実は仮想現実だということを。

家族や友達との平穏な日々が、現実の地球とは異なる場所で繰り広げられていることを。

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