第123話

「さて、ココちゃんが前に進めてる、って分かったことだし、今日はここまでにしましょうか。」




そう言うかおちゃんに、ふと壁に掛かっている時計に目を向ければ、昼過ぎに来たのにもう既に針は17時を指していた。





『かおちゃん、ありがとう。』





そう言いながら立ち上がって、持ってきたカバンを肩にかける。





「えぇ、次はまた1ヶ月後ね。進展、期待してるわよ?」





『う、うん…?』





進展?と疑問に思いながらもとりあえず頷いて、「バイバイ。」と手を振ってからカウンセリングルームを出た。




人気のない廊下を歩いていれば、ポケットに入ってるスマホがブブ、と振動した。




短かったからメールかな、と思いながら取り出してメールを開く。…あ、お兄ちゃんだ。




メールの内容は、「今日カウンセリングの日だろ?悪いけど、帰りにスーパーで適当に今日の晩飯の材料買って帰ってきてくれねぇか?」というもの。




そういえば、今日帰りが少し遅くなるって言ってたな…。朝のお兄ちゃんの言葉を思い出して、「そうだよ。分かった。」とだけ返して、スマホを仕舞った。




スーパーか…。ここから帰り道にある一番近いスーパーと言えば、ちょうど繁華街の中心部にある所しかないよね…。




嫌だなぁ、この時間の繁華街なんて、人が多そう。でも、別のスーパーに行くとなったら往復で40分ぐらい掛かっちゃうし…。仕方ない、か。





憂鬱な気持ちを抱えて病院を出て、ここから5分ほどで着く繁華街へと足を進めた。

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