第121話
「…ココちゃん?」と、かおちゃんの私を呼ぶ声に、はっと我に返る。
「大丈夫?ぼーっとしてたけど。」
『あ、大丈夫だよ!気にしないで。』
心配そうに見てくるから、安心させるように笑顔でそう返した。
「そう…?あ、それより、また話が逸れちゃったけど、そのココちゃんを助けてくれた男の子、何でかしらね?初対面だったんでしょう?」
そしてそう言うかおちゃんに、
『あー…、初対面では、ないんだよね…。』
言葉を濁しながら答えた私に、「え?そうなの?」とまた驚いているかおちゃんに苦笑した。
それから、牧谷さんと初めて会った時のことを根掘り葉掘り聞かれ、軽く省略しながらも説明する。
「なるほどねー?」
全部説明し終えた後、そう呟きながら何故か面白そうにニヤニヤしているかおちゃん。「たまには大和も役に立つじゃない。」と言うかおちゃんに、意味が分からなくて首を傾げるけど、それ以上は何も教えてくれなかった。
「それで?ココちゃんはその牧谷って人のこと、どう思ってるの?」
『え?どう…って?』
どうって、どういうことだろう?
「そのままの意味よ?ココちゃんはその男の子に対して、”何か”思ってるんでしょう?」
『…っ、何で…。』
…どうして、分かったんだろう。
「そのくらい、ココちゃんの様子を見てれば分かるわよ。私にはお見通しよ?」
綺麗にウインクするかおちゃんに、やっぱり誤魔化せないなぁ、と小さく笑みが零れた。
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