第107話

そして、次の日。





どう…しようかな。昨日と同じ時間の屋上の扉の前で、悶々とそんなことを考えて悩むことかれこれ10分弱。





いやでも別に、”明日も来るか?”って聞かれただけで、彼も今日ここに来るとは限らない。






うーん…、と頭を抱えて悩んでいると、ガチャッと目の前のドアが何の前触れもなく開いた。






『え…、』






びっくりしてそう声を零しながら顔を上げれば、






「…お前、いつまでここにいるわけ?さっさと中に入って来いよ。」






呆れたような顔で私を見下ろす彼がいた。






『…っ…、』






彼との距離はほんの数cm。あまりの距離の近さに身体が一瞬強ばる。けど、あれ…、いつまで経っても、震えは襲ってこなかった。酷いときには、発作だって起きるはずなのに、どうして。






「お前、俺が怖くないのか?」






そんな私に気付いた彼も、驚いたようにそう聞いてくる。






『あなたは、大丈夫…、みたいです。』







何で彼だけ大丈夫なのかは分からない。






でもそれは、私にとっては嬉しいことだった。やっと、一歩進んだ気がしたから。

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