第104話

少し低めの声で”男の人”だと頭が認識して、ビクッと身体が反応して震え始める。






「おいお前、大丈夫か?」






慌てたような声を出しながら近付いてくるその人に、






『だ、大丈夫ですから…っ、来ないで…ください。』







必死にそう伝えながら後ろに振り向けば、どことなく幼い顔つきの、私と歳が近い”男の子”という表現が正しいような子が、少し離れた場所で立ち止まっていた。






その子の顔は整っていたけれど、髪は金髪で目付きが悪すぎるせいか”怖い”という印象だった。しかも、耳にはピアスが何個も付いている。





遠目からでも分かるぐらい震えていたのだろう、






「…お前、”男”が怖いのか?」






と、眉をひそめながらそう聞いてきたその子に、小さくこくりと頷いた。






「そうか…。じゃあ、これ以上は近付かねぇ。」






そう言って、離れた所のフェンスの前に座り込むその子。






…何か、不思議な男の子だなぁ。

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