第70話

『何してるって聞いてんだけど。』





黙ったまま未だに固まっている女達に痺れを切らして、威圧たっぷりでそう言えば、





「こ、これはただ、話してただけで…!」






そんなくだらねぇ言い訳をしながら、慌てたように俺に駆け寄ってくる女達。






強い香水の匂いが3人分混ざっていて、鼻がもげそうなくらいの悪臭で眉間に皺が寄る。





挙句の果てに俺の腕に手を伸ばそうとしてきやがるから、






『…触んじゃねぇ。目障りだ、失せろ。』






殺気を放ちながらそう吐き捨てた。






俺の殺気に当てられた女達は、顔面蒼白で一度もこっちを振り返ることなく逃げて行く。






再びあの子に目線を移せば、ペコッと頭を下げながら礼を言ってくる。





今は距離があるからか、身体は震えていないように感じた。





それから少し会話をした後、








「それでは…、私は教室に戻りますね。」







そう言いながら歩き出そうとしていたが、何故か急に小さく声を漏らして立ち止まり、どこか痛むのか苦痛に顔を歪めていた。

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