第69話

この声…、大和さんの妹か?





そう思いながら校舎の影から覗き込めば、3人の女達に囲まれているあの子の姿が見えた。






…何であんな事になってんだ?






そう考えている間に、






「何黙ってんのよ!何とか言いなさいよ!」






一際大きい怒鳴り声を出した女が、右手を振り上げた。






っ、あぶねぇ…っ。






そう思った時には、無意識に身体が勝手に動いていて、







『何してる。』








そんな言葉が、口から零れていた。







そうすれば、ギリギリでピタッと止まる女の手。






それに小さくはぁ…と安堵の溜息を吐く。






「ま、牧谷さん…。」






1人の女が俺の名前を呟く。他の女達も、顔を真っ青にして俺の方を見ながら固まっている。






そんな女達を無視して、真っ直ぐあの子を見ていれば、目が合った。






何でここにいるのか、とでも言いたげな表情で目を見開いていた。

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