第55話
―――「アイツの情報は、俺と真於が厳重に二重でロックしてある。」
確か大和さんは、そう言っていた。
だったら、快里がロックを解除出来ねぇのも無理はない。
「ところでさ、こんなに厳重なロックがしてあるこの子って何者なの?普通の人間じゃないよね?」
未だにパソコンと格闘していた快里が一旦顔を上げ、そんな疑問をぶつけてきた。
他の奴等も気になるのか、俺に顔を向けてくる。
…まぁ、コイツらには言っといた方がいいか。
『その子は、大和さんの妹だ。…で、俺が探してた子でもある。』
一瞬シーンと静まり返る部屋。
だが次の瞬間、
「はぁぁぁぁ!?」
馬鹿でかい声でそう叫ぶ聖。他の2人も声には出さないものの、目を見開いて驚いている。
うるせぇな…。
「おまっ、そういう事は最初に言えよ!」
「…大和さんに妹がいたことにもびっくりしたけど、そんな重要なことを言わなかったお前にもびっくりだよ。」
呆れたような視線を向けられるが、無視だ。
「…それで、どうすんだ?」
今まで黙ってた律希(りつき)が珍しく話に入ってきたかと思えば、そう言ってくる。
『…律希、明日ここに連れて来い。』
そんな律希にそう返すが、
「分かった。」
嫌がる素振りも見せず文句も言わず、すんなり受け入れた。
聖と快里も、珍しいモノを見るかのように律希をガン見している。
当の本人はしれっとした顔でソファーに寝転んで目を閉じていた。
…まぁ、コイツはいつもの気まぐれだろう。
そう解釈しながら、明日の”再会”を思い浮かべ、そっと口角を上げた。
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