第49話

…っ、怖い。顔を上げたくない。






「連れて来たぞ。」






私の前にいた男の人がそう言いながら、ドアの前にただ突っ立っている私を置き去りにしてスタスタ奥へと歩いて行ってしまった。





連れて来たのはそっちなんだからそのまま置いていかないで欲しい…と思いながらも何も言えないでいれば、





「君が桐咲 心音ちゃんだよなー?」





そんな、明るい声が聞こえてきた。





その声に思わず顔を上げれば、部屋の奥の方にソファーがいくつか置いてあり、そのソファーにあの赤髪の人も含めた4人の男の人達が座っていてじっと私を見ていた。





えっ…と、返事した方がいい…よね。





『そう、です。』





聞こえるか分からないぐらいの小さい声でそう答えれば、





「そんな所に居させるのもなんだから、こっちおいでよ。」





爽やかで優しそうな男の人がそう言いながら手招きしてくる。





…これ以上、近付きたくない。





『い、いえっ、私はここで大丈夫です…!…それで、あの、私は何でここに連れて来られたんでしょうか…?』





早くここから出たい一心で、思い切って理由を聞いてみた。

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