第48話
無言で歩く男の人の後ろを、私も無言で一定の距離を開けて歩いていく。
そんな状態で歩くこと5分。
気が付けばいつの間にか校舎を離れ、向かい側にあった今はもう使われていないはずの旧校舎の方に躊躇なく入って行く男の人。
私も戸惑いながらも、何も言えず大人しく後を付いて行く。
そして奥に進むにつれて、ちらほらと男の子達が廊下に居て、前を歩く男の人に気付くや否や「お疲れ様です!」と次々に頭を下げていた。
その度に私はビクッと肩を震わせてしまう。ただでさえ後ろを歩く私を見る男の子達の目が怖いのに、そんな大声を出されたら嫌でもビクビクしてしまう。
全ての視線を遮断する様に、サッと俯いて目を合わせず通り過ぎる。
…早く帰りたい。出来ることなら、今すぐにでも逃げ出したい。
そんな思いを必死に抑え歩き続けていれば、1つのドアの前で立ち止まる男の人。
ガチャっと迷いなくそのドアを開けて、後ろにいる私に「入れ。」と一言言ってから中に入る男の人。
私も恐る恐る中に入れば、中にいたのであろう人達の視線が一斉に突き刺さるのが分かった。
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