あまりの大きさに思わず耳を塞いでしまった。

「絶対それよ！！心音の素顔を見たからだわ！！」

そんな私の様子には気付かず未だ興奮気味にそう繰り返す依里ちゃんに、私の頭の中に？が浮かぶ。

『…私の素顔を見たからって、探される理由にはならないんじゃないかな？』

そんな疑問を呟けば、

「心音の場合はなるのよ！」

即答でそんな言葉が返ってくる。

『何で…？』

意味が分からず首を傾げながら聞けば、

「…っ…！心音が可愛すぎるからよ！！絶対一目惚れしたに違いないわ！！」

『え…、』

思ってもみなかった事を言われ、今度は私が固まってしまった。

私が…、”可愛すぎるから”？”一目惚れ”？

『そ、そんな理由あり得ないよ！』

そんな訳ないと全力で否定するが、依里ちゃんは聞いてない様子。

「あの男…、私の心音の素顔を見た挙句に一目惚れまでして探すなんて…、許せないわ。」

小さくブツブツ何かを呟いている依里ちゃんの顔には、何故か怒りが滲んでいる。

どうしたんだろ依里ちゃん…。

『でも、その牧谷って人女嫌いなんでしょう？何でそんな人が私の素顔を見ただけで一目惚れなんてするの？』

さっき依里ちゃんから聞いた情報の中に”女嫌い”っていうのもあったはず。

そんな人が私に一目惚れなんて、絶対あり得ないよ。

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