第37話
「あ、って…、やっぱ何かあったの!?」
そんな私の小さい呟きを聞き取った依里ちゃんに、またもや詰め寄られた。
『…え、えっと…。多分、最近その人に、会った…、と思う。』
私の肩をガシッと掴んでいる依里ちゃんの顔が怖くて、しどろもどろになりながらもそう口にした。
そうすれば、
「はぁっ!?いつ!?」
驚いた様に目を見開きながらも、そう返ってきた。
『き、昨日…。』
恐る恐るそう言えば、依里ちゃんは更に目を見開いて固まってしまった。
「依里ちゃん…?」と顔の前で手をヒラヒラさせればハッと我に返った様で、今度ははぁ…、と深い溜息を吐かれた。
「昨日会ったって…、どこでよ?学校には来てるらしいけど、ずっと溜まり場に居て滅多に姿を現さないって話なのよ?そんな奴とどこで会うのよ。」
そうなんだ…。だから同じ学校でも今まで会った事なかったんだ。
それにしても…、依里ちゃんに何て説明しよう…。
”男性恐怖症”って事はまだ話せてないから、詳しい経緯は話せないし。
…私に兄が居るのは話してるし、お兄ちゃんの後輩で昨日たまたまお兄ちゃんが家に連れて来た、って言うだけでいいよね。
そう思い、
『その人、お兄ちゃんの後輩らしいの。それで、昨日お兄ちゃんが連れて来て…。』
語尾が小さくなりながらもそう言えば、
「はぁ!?後輩!?…はぁ、だめだわ。今日色々驚き過ぎて頭痛くなってきた。」
再び目を見開いて驚いている依里ちゃんは、溜息を吐きながら頭を抱えていた。
『ご…、ごめんね…?』
そんな依里ちゃんに少し罪悪感を覚え、とりあえず謝った。…最後は疑問形になっちゃったけど。
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