第36話
「そう。まぁいい機会だし、この学校について色々説明していくわね。」
そう言う依里ちゃんに、「お願いします…?」と疑問形になりながらも小さく頭を下げた。
「まずこの学校には、ある1つのグループがあるの。そのグループには名前が無いから、周りは”牧谷一派”って呼んでるわ。」
”牧谷一派”…。
「で、その牧谷一派に、この学校の不良が半数以上属してるの。その牧谷一派が、この学校を纏めてるってわけ。…ここまでは分かった?」
『う、うん、何とか。』
何とか頭の中で整理して、コクコクと頭を上下に振る。
「じゃあ続けるわね。それで、その中でも、上の地位にいる奴等が”4人”いるの。」
『4人…?』
「そうよ。まず1人目は、2年の”永瀬 律希”(ながせ りつき)。赤髪で、目付きが悪いわね。そして2人目、これまた2年の”沢代 快里”(さわしろ かいり)。黒髪青メッシュで、中身は真っ黒だけど、見た目だけは爽やか男ね。それから3人目は3年で、”宮葉 聖”(みやば こうき)。明るめの茶髪で、能天気でマイペースでうるさいけど、一番冷静な奴ね。で、最後は、」
…何となく、予想できる。
「3年の、”牧谷 冬悟”。この男がこの学校の”トップ”よ。」
やっぱり…。
予想してた通りの事実に、それ程驚きは無かった。
「黒髪で、”冷酷な鬼”って恐れられてるわ。それに、”女嫌い”っていうのも有名ね。だから、この学校にいる”ココ”って名前の女を探してる、って聞いた時は驚いたわよ。しかも、”ココ”って名前なんて、この学校で心音しか居ないじゃない?…心音、本当に知らないの?」
依里ちゃんにそう聞かれて、自分でも考える。
…本当に、何でそんな人が私を探してるんだろう。
どこかで会ったこともなければ、そんな人と関わる様な事はしていないはず。
私が必死に考え込んでいれば、
「最近、何か変わった事とかなかったの?」
そんな私を見兼ねて、依里ちゃんが一言そう聞いてきた。
最近、何か変わった事…。
―――”トウゴ”
『…あ。』
その名前に、聞き覚えがあった。
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