第35話

”マキヤ トウゴ”



”マキヤさん”



”トップ”







…やっぱり、あれは私の事だったの?






言い方からして、依里ちゃんは私のことだと思ってるらしい。







でも、私だとして、







『何で…、私の事を…?』






知らない人に、探される理由が分からない。







「え、心音、何で探されてるか知らないの?」






目を見開いてそう聞いてくる依里ちゃんにコクっと頷けば、更に目を丸くしていた。







『だって、”マキヤ トウゴ”なんて人知らないし、会ったこともないのに。』






そう言えば、






「”牧谷 冬悟”知らないの!?」






物凄い形相で詰め寄ってくる依里ちゃんに、思わず後ずさった。








『そ、その人、そんなに有名な人なの…?』






依里ちゃんがそんなに驚くぐらいなら、有名な人なんだろうけど、生憎私は男の人に興味は無いし、何しろ”男性恐怖症”なのだから、男の人関係の事には疎い。





その事を依里ちゃんは知らないから、そんなに驚いてるんだろう。







「…まぁ、心音は”そういう事”に関して疎そうな感じだもんね。知らないのも無理ないか。」






『”そういう事”?』







意味が分からず聞き返せば、






「ザックリ言うと、”不良の世界”ってやつね。」






そんな言葉が返ってきた。






『不良の、世界…。』











”不良”という単語に、ドクンッ、と心臓が音を立てる。









”不良”なんて、私にとっては一番”苦手な部類”なのに。

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