第34話

そして、2階の空き教室のドアをガラッと開ければ、教卓の横に足を伸ばして座り、スマホを弄っていた依里ちゃんと目が合った。






「やっと来た心音!」





そう言いながらガバッと物凄い勢いで抱き着かれた。






『わっ。』





思わず声が出てしまいながらも受け止める。






「もうー、めっちゃ待ったんだからね!」





『ごめんね。』






眉を下げながら落ち込み気味にそう言えば、依里ちゃんは「くっ…!」と何故か口元を抑えて悶えていた。






私は「?」と首を傾げながらも、2人で教卓の横に座れば、








「…で、単刀直入に聞くけど、心音、あんた何したの?」







神妙な顔つきをした依里ちゃんに、そう詰め寄られた。







『え…?何が?』





何したの、って…、どういう意味だろう?







「え、あんた知らないの?」






『何を…?』







何の事か全然分からなくてそう聞き返した私は、依里ちゃんの次の言葉に目を見開いた。












「”牧谷 冬悟”…、この学校の”トップ”があんたの事探してんのよ。」

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