第33話
それからほんの数分で学校に着けば、10時半には着く予定だったのに、11時になってしまっていた。
…依里ちゃん心配してるかな、と思っていれば、ブーッブーッ、とバイブ音が聞こえてきた。
電話…、誰だろ。
校舎に入った所の入口付近でスマホを取り出して確認すれば、着信の相手は依里ちゃんだった。
やっぱり心配してたのかな、と考えながら急いで通話ボタンを押して耳に当てる。
『もしも、』
[心音!待ってたのに、遅いじゃない!何かあったの!?]
”もしもし”と言い終わる前に、依里ちゃんの大きな声で遮られた。
『ごめんね依里ちゃん!ちょっとゆっくりし過ぎちゃって遅くなっちゃったの。今学校着いたから!』
男の子達の会話を聞いてて遅くなった、なんて言えるはずもなく、そう言った。
[そうだったの…、良かった。何かあったのかと思って心配してたの。今学校のどこにいるの?]
『今は校舎に入ったとこだよ。』
[じゃあ、教室じゃなくて2階のいつもの空き教室来れる?心音来るまで暇だから、今そこでサボってんのよ。…聞きたい事もあるしね?]
”いつもの空き教室”
そこは、たまに依里ちゃんとサボる時に使っている場所。
2階の端にあって、誰も使ってない感じだったから使わせてもらってる。…もちろん真於くんにも許可は取ってある。
『分かった!すぐ行くね。でも、聞きたい事って…?』
聞きたい事って何だろう?と思ってそう聞くけど、
[それはまた後でね?じゃあ待ってるから!]
それだけしか言ってもらえず、返事も聞かずに電話を切られた。
…とりあえず、空き教室行くか。
スマホをポケットに仕舞ってから階段を上がった。
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