第29話
そしていつもの格好に着替えれば、机の上に置いたスマホがブブ、と鳴った。
スマホを開けば、メッセージが1件表示されていた。
…あ、依里ちゃんからだ。
メッセージは依里ちゃんからで、[今日学校来ないけどどうした?何かあった?]と書かれていた。
何かあった?って、真於くんも聞いてきたな。
…私の周りは、お兄ちゃんも含めて心配性の人ばかりだな。
そう思いながら思わず苦笑した。
それから、[ごめんね、今日寝坊しちゃって。もうすぐ行くよ。]と送れば、すぐに返信が来た。
[心音が寝坊するなんて珍しいじゃん。分かった!待ってる。]って来たから、[アラームが鳴らなかったから…。うん、また学校でね。]と送った。
スマホをポケットに仕舞い、カバンを肩にかけて部屋を出る。
「いってきます」と小さく呟いてから、家を出た。
こんな時間に学校行くなんて新鮮だな。
不思議と罪悪感が無いのは、多分不良校だからだろう。遅刻して来る人なんていっぱい居るし、遅刻しても特に何も言われない。
それに私は真於くんに伝えてあるから気楽に行ける。
急いでもしょうがないと開き直って、ゆったりと歩いていれば、前から2人組の男の子達が歩いて来た。
見るからに不良の分類に入る人達で、よく見れば同じ学校の制服を着ている。
”男の子”というだけで身体が震えそうになるけど、それを必死に抑える。
学校でも、男の子の割合が高くていっぱい居るからいつも怖くて内心ビクビクしてるけど、それを悟られない様にしていた。
こんな地味な格好をしていれば近寄ってくることはないけど、常に周りを警戒している。
だから、依里ちゃんにはまだ私が”男性恐怖症”だとはバレてない。
…いつか、話せたらいいな。
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