episode.3

第28話

次の日。






いつもはちゃんとアラームをセットしているはずなのに何故か今日は鳴らず、初めて寝坊してしまった。






そして今日に限って、お兄ちゃんは朝早くから仕事に出たらしく、「朝飯作ってるから、ちゃんと食べて学校行けよ。」という書き置きの手紙がリビングのテーブルに置いてあった。






時刻は9時10分。





…今から急いでももう遅刻は確実だし、もう諦めよう。






そう思い、とりあえず担任の真於くんに連絡しようとスマホを手に取った。






真於くん出るかな…、と思いながらも電話を掛ければ、






[ココ?どうした?]






2回コール音がした後にプツ、と途切れたと思ったら、開口一番、心配した様にそう言う真於くんの声が聞こえた。






『真於くん?ごめんね、今大丈夫?』





[あぁ、大丈夫だ。それよりココ、お前今日どうした?学校来てねぇけど。]






『その事でね、電話したの。今日寝坊しちゃって、お兄ちゃんも朝早くから仕事で居なかったからさっき起きて…。でも学校には行くから、遅刻するって伝えたかったの。』





私がそう言えば、






[…何だ、そうか。珍しく居ねぇから何かあったのかと思ったわ。分かった。授業はほとんど自習だし、無いようなモンだからゆっくり来いよ。気を付けてな。]





『うん。ありがとう、真於くん。』






相変わらず心配性で優しい真於くんに感謝しながら、電話を切る。





ゆっくりでもいいって言われたから、とりあえずご飯食べようかな。せっかくお兄ちゃんが作って行ってくれたからもったいないし。







そして、1人リビングの椅子に座り、「いただきます」と手を合わせてから、味噌汁を啜った。





…ん、美味しい。





今日は和食で、白ご飯に豆腐とワカメのお味噌汁、玉子焼きと鮭の塩焼きにほうれん草のおひたし。





やっぱりお兄ちゃんの作る料理は美味しい。…女の私より上手っていうのはどこか腑に落ちないけど。







それから、10分程度で綺麗に完食して、食べ終わった食器をキッチンに持って行き、洗剤で洗っていく。





全て洗い終わり、ふぅ…と一息吐く。





さて、と。着替えて学校行かなきゃ。





今の時間は10時。10時半には学校に着くかな。





そう考えながら、自分の部屋に戻った。

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