第27話
「で、話を元に戻すが…、アイツの学年だったな。」
『はい。』
「それは、…お前が自分で探せ。」
『え…、自分で、探せ?それは、どういう…?』
自分で探せって、どういう意味だ…?
”探せ”って、あの容姿ならすぐに見つかるんじゃねぇのか?
…今まで耳に入ってこなかったのは、ただの偶然じゃない…?
「あぁ、そのままの意味だ。…アイツは、そう簡単には見つからねぇぞ?」
面白そうに口角を上げてそう言う大和さんに、ますます困惑する。
『簡単には見つからないって、どういう事ですか?』
「アイツの情報は、俺と真於が厳重に二重でロックしてあるし、アイツのあの容姿は目立つからな。普段は”隠してる”んだよ。まぁコレは、アイツ自身が望んだ事だけどな。」
…”隠してる”?
『隠してるって、顔を、って事ですよね?』
「あぁ。言葉の通りだ。どう隠してるかは、詳しくは言えねぇがな。」
…これは、探すのはかなり難しそうだな。
情報は、大和さんと真於さんがロックしてるとなると、探るのは不可能に近いだろう。
他に何か手掛かりは…。
…そう言えば、名前。
『…名前、”ココ”って呼んでましたけど、フルネーム、聞いてもいいですか?』
確かにあの時、大和さんは”ココ”って呼んでいた。
名前さえ分かれば、一歩前進するはずだ。
だが、
「フルネーム、ね。それも、教えられねぇなぁ。教えたら、すぐに見つかっちまうかもしれねぇだろ?それじゃ、面白くねぇからな。」
そんな大和さんの言葉に、俺の考えが甘かったと思い知った。
…やっぱ、そう簡単にはいかねぇか。
「…まぁ、”ココ”って名前はもう知られちまってるからな、それをヒントに探せ。そしてもし、見つけられたら…、アイツと関わることを許してやるよ。」
挑発的にそう言う大和さんに、無意識に口角が上がる。
…絶対、見つけ出してやる。
『絶対、見つけ出してみせますから。』
俺がそう言いながら大和さんを見据えれば、
「精々、頑張れよ。」
そんな俺を、心底面白そうに見ながらそう言い、「じゃあな。」と手を上げて帰って行った。
そんな大和さんの背中を横目に、俺はポケットからスマホを取り出して電話を掛ける。
何回かコール音がした後、
[はいはーい。どうした?お前から電話なんて珍しいじゃん。何かあったのか?]
そんな、聞き慣れた声が聞こえてきた。
『あぁ。…明日、溜まり場に”アイツら”全員集めとけ。話がある。』
[あー、了解。でも、その話って今電話で聞いちゃいけねぇのか?]
『…明日、詳しく話すから待て。じゃあ…、頼んだぞ。』
それだけ言って、有無を言わさず電話を切った。
スマホをポケットに仕舞い、次に煙草を取り出して火を付けた。
ふーっと紫煙を吐き出しながら、
『…”ココ”、か。』
そう無意識に呟き、口角を上げた。
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