第23話

アイツ…、怯えてたのか?……俺に?





だが、俺の事を知ってる様な顔ではなかった。ただ単純に、”俺”に怯えてた様に見えた。






…いや、”俺に”じゃなく、”男”が怖いのか?






だとしたら、何で男が怖いんだ…?






まぁ、いくら考えても、今日初めて出会った女の事なんて、俺には分かるはずもねぇけど。






とりあえず。






『…大和さん。』







”俺はどうすればいいのか”、という意味も込めて、大和さんの名前を呼んだ。






そうすれば、ハッと気付いたように顔を上げる大和さん。





俺に視線を向け、





「あー…、冬悟、悪ぃが家の外で待っててくれるか?」





苦笑気味にそう言う大和さんに、小さく頷いてそのまま何も言わずに出て行く。





靴を履き、玄関のドアを開けて、ガチャンッ、と閉まる音を聞いてから、思わずはぁ…、と溜息を吐き出した。







…空気、重すぎだろ。






アレは、何かあるよな…。







その”何か”を知りてぇ、なんて。








女になんて、興味の欠片も持てなかった俺が、初めて女に対して興味を抱いた瞬間だった。

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