第17話

大和side









トントン、と階段を降りきった所のすぐ側の壁に、トンっと背中を預けて、深く、溜息を吐いた。










…ココ、ごめんな。











あの時、ちゃんと確認もしないでアイツをリビングに行かすんじゃなかった…。






…今さら、後悔したところで遅ぇけど。









っと、そういやアイツ、ずっと外で待たせてたな。







説明…、どうすっかな…。






確実に説明しなきゃいけねぇよな、あんだけ取り乱した姿を見られちゃ。…気になるわな誰でも。







はぁー…、仕方ねぇ。







ガシガシと頭を乱雑に掻きむしりながら、玄関まで向かう。






適当にサンダルを履き、ガチャっとドアを開ければ、少し離れた場所で煙草を吸う、アイツの後ろ姿が見える。






近くまで歩いて行けば、気付いたのか煙草を地面に落として踏み潰し、俺の方に顔を向けた。








『悪ぃな、遅くなっちまって。』





そう声を掛ければ、






「いえ…、それよりあの子、大丈夫ですか?」







そんな言葉が返ってきて、思わず目を見開いた。







…”あの子”、ね。





へぇー…。コイツが、女の事を”あの子”って言う日が来るとは…、びっくりだなこりゃ。






まぁ”あの子”っていう言葉を使ったのは俺の前だからかもしれねぇけど、いつもは”あの女”とか、”女”とか、そんな言葉しか使わなかったのに。






それに、いくら俺の妹だとしても”女”に対してのその心配そうな表情は今まで見たことがない。…アイツらが知ったら目ん玉飛び出るんじゃねぇか?







「…どうかしました?」






なかなか俺が喋らないからか、そう聞いてきた冬悟。









…コレは、面白ぇな。









『いや、何でもねぇ。アイツか、今は大丈夫だ。もう落ち着いて寝たわ。』






「そう、ですか。」







俺がそう言えば、ホッと息を吐いたように見えた。







『珍しいな?お前が、俺の妹とはいえ、”女”の心配するなんて。』










確か、コイツは昔から”女嫌い”だったはずだ。








…ココの”素顔”を見て、まさか惚れたか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る