第18話

『…お前、アイツに惚れたか?』







半信半疑でそう聞けば、






「そういう訳じゃ、ない…、ですけど。気になったんで…。」







ふーん…?




コイツにしては、歯切れが悪いな。







…俺の勘が当たったな。




お前、アイツに惚れちまったか。









『まぁ…、どっちでもいいけどよ、俺は。だが……、アイツに惚れたら苦労するぞ、お前が。だから止めとけ。俺からの忠告だ。』








俺は、反対はしないが…、賛成もしない。









アイツに惚れれば、確実にお前が苦労するぞ。






俺には、忠告してやる事しか出来ねぇからな。







「…何で、苦労するんですか?それに、さっきのあの子の様子…、俺を怖がってましたよね?それは、どうしてですか?」










…やっぱ、アレを見ちまったら誰でも気になるよなぁ。







でも、アイツの許可無しに他人に話すのは気が引けるんだよな…。







『…理由は話せねぇって言ったら、』





「話してくれるまで帰りませんよ。」







俺の言葉を遮ってそう言ってくる冬悟。








だよな…、引き下がらねぇよなコイツは。







仕方ねぇか…。別にコイツに話しても支障はねぇだろ。






誰かに言いふらすなんて事はするはずねぇし、アイツの為、これからの為にも、話しておいた方がいいだろう。














コイツなら、ココを助けてやれるかもしれねぇ…。







俺には、助けてやれねぇから。










お前を、信じるぞ…、冬悟。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る