第15話

そして、身体の震えも止まってきた頃、ふと、大事な事を思い出した。







『あっ…、私の”素顔”、あの人に見られちゃったっ…。』







そう口にした瞬間、一気に不安が駆け巡る。








「…大丈夫だ。見られてたとしても、アイツは大丈夫だ。俺が保証する。」







不安に駆られていた私に、お兄ちゃんがそう言った。







でも、お兄ちゃんがそう言っても、あの人を知らない私はいまいち信用し切れない。






『…本当に?』






そんな思いでそう聞けば、







「あぁ、本当だ。」






真剣な顔でそう言うお兄ちゃん。








…じゃあ、大丈夫かな。お兄ちゃんを信じる。







まだあの人を信用し切れてはいないけど、お兄ちゃんの言う事を信じてみようと思った。







だって、私にとっては、男の人に”素顔を見られる”というのは、恐怖でしかないから。


















――――「あぁ…、美しい僕のお姫様…。」














また、頭の中で思い出したくもない声と共に、嫌な記憶が流れた。

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