第12話

完全にお兄ちゃんだと思ってたのに、目の前には知らない男の人。





その人は、私を無言でじっと見下ろしていた。











”知らない男の人”








そう頭が認識した途端、身体が震え出す。






パニックになりそうな頭で必死にどうしよう、と考えた。













私は、男の人が嫌いというより、”怖い”のだ。















何か言葉を発しようとしても、パクパクと唇は動くけれど何も出てこない。








恐怖で目に涙が滲んできた時、ドタドタと階段を降りてくる音と共に、






「ココ…!!」








お兄ちゃんの、声が聞こえた。

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