第3話

階段を降りてリビングに入れば、





「おー、ココ、はよ。」





キッチンから顔を出したお兄ちゃんが、挨拶してきた。






『おはよう、お兄ちゃん。』






私の”地味”な格好を見て、いつもの様に辛そうな顔をしたけどそれは一瞬で、





「ちょうど飯出来たから、運んでくれるか?」





ニカッ、と笑いながらお皿を渡してくる。





『うん、分かった。』





私も、さっきの辛そうな顔には触れずに、お皿を受け取ってリビングに運んだ。








…そんなに、お兄ちゃんが責任感じる事ないのに。






ああなったのは、確かに、ちょっとはお兄ちゃんのせいかもしれないけど、私は別にお兄ちゃんを恨んではいない。






…もう、いいのに。






そんな顔されたら、私だってあの時の事を思い出してしまう。






再び、頭の中に嫌な映像が流れかけて、慌てて消した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る