episode.1

第2話

いつもと同じ朝。いつもと同じ時間にアラームで起き

て、支度をする。





白シャツを羽織り、第1ボタンまでしっかり留める。




スカートは折らずに膝下。黒色の、膝より下ぐらいの長めの靴下を履く。




最後にブレザーを着て、それも前のボタンを全部留めれば完成。





次は髪。




いつも家にいる時はピンで留め上げている前髪は、ピンを外して下ろす。クセがついて跳ねている所はヘアアイロンで真っ直ぐに。




それから肩より少し下まで伸びた黒髪も軽く整え、最後に”度が入ってない”黒縁メガネをかければ、いつもの学校スタイルの私が出来上がった。







私のモットーは、”地味”に”目立たない”ように。






別に、好きでこんな地味な格好をしている訳じゃない。






コレは、”自分を守る”為のモノだから。












もう、”あんな思い”はしたくないから。















―――「やめて…!!誰かっ…、助けて…!!」
















一瞬、脳裏に過ぎった記憶を必死に振り払う。







…大丈夫。この格好をしてれば、もう”あんな事”は起こらない。大丈夫、大丈夫。





そう自分に言い聞かせながら、カバンを持って部屋を出た。

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