第88話

あー…、わざわざコイツから電話とか絶対ぇめんどくせぇ用件だろ…。無視だ無視。




そう思ってポケットに仕舞う。…が、振動しなくなったと思えばまたすぐに振動し始めて一向に鳴り止む気配が無い。




…チッ、しつけぇんだよコイツ…!




遂にイライラが限界に達し、仕方なくスマホを取り出して応答の方にスライドさせる。





『んだよ藍都!しつけぇわ!』




感情をそのままに、しつこく電話を掛けてきていた奴、もとい藍都に怒鳴れば、「あ!やっと出た!もー、遅いよー!」という、拗ねた声が返ってきた。




はぁ…、コイツにキレたところでこっちが疲れるだけだな。




『何かあったのか?』




溜息を隠しもせずに吐いてからそう聞けば、




〔あ、そうそう!燐って今どこに居るの?まだ学校?〕




いつもは聞いてこないような事を聞かれる。




チラッと目の前で寝ている女を視界に入れながら、まぁ場所ぐらいは教えてもいいかと思って「あー…、保健室。」と答えた。




〔もうー、また女ー?…まぁいいや。いつから保健室に居るの?〕




保健室=女、と察した藍都から呆れたような溜息を吐かれるが、そのすぐ後にまた意味が分からねぇ事を言われる。




『はぁ?何で?』




何でそんな事が知りたいのか、という意味でそう言えば、「いいから教えてよー!」と間髪入れずに喚き散らされた。

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