第68話

あぁもう何なんだ。用があるならさっさとしてくれ。ついに真梨がイライラし始めて物凄い形相で睨んでくる。





『で?何で私を呼び止めたわけ?』





”さっさと言え”と目で訴えれば、





「…屋上、来い。」





一言ぽつり、そう言った赤髪。






『はぁ…?』






思わず、間抜けな声が零れた。





…いやいや、それ、今ここで言うことか?





「そうだよ琶來!屋上行こうよー!」




「屋上…、行こ。」





赤髪の言葉に便乗したのか、キャラメルと金メッシュも口々にそう言う。





『嫌よ、行かな…、』





そんな奴等に、私がそう言い掛けた時、





「行くぞ。さっさと来い。」





そんな声が目の前から聞こえたかと思えば、






『え、ちょっ…、』






突然腕を掴まれ、ぐいっと強い力で引っ張られる。思わず見上げれば、私の腕を掴みながら見下ろしてくる赤髪と目が合った。






『なに、離し…っ、』





「うるせぇ、早くしろ。」






またもや、離してと言い終わる前に、何とも横暴な言葉で遮られる。





そして、拒否権はないとでも言うように、くるっと後ろに振り返った赤髪は、そのまま私の腕を掴んだまま歩き始めた。

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