第67話
そんな思いを込めて青メッシュに視線を向ければ、
「ははっ…、本当に神堂さんは面白いですね。見ていて飽きません。」
いきなり笑い始めた。そんな青メッシュに、周りの野次馬達は驚いたように目を見開いて固まっていた。
「おい、桐生さんが笑ったぞ…。」
「初めて見た…、かっこいい…。」
”初めて”見た?こいつ、いつもは笑わないのか?
…まぁいい。青メッシュが初めて笑おうと、そんなどうでもいい情報は心底要らない。それより早く食堂から出たい。さっきから真梨の視線が痛いんだ。
チラッと真梨に目をやれば、”早くそいつら引き離してこい”とその目が語っている。
でも、さっさと私を置いて行かずに待ってくれている辺り、真梨は優しい。毒舌で口は悪いが、何だかんだいって友達想いなんだ。
『もういいかしら?用が無いなら失礼するわ。』
そう言って両脇の2人を振り払えば、
「…琶來。」
ずっと黙っていた赤髪が、私の名前を呼んだ。
その瞬間、食堂中の女達から悲鳴が上がる。
『…何?てか、勝手に名前呼ばないでくれる?』
何でいきなりこの男に名前を呼ばれなければいけないんだ。許可した覚えはない。
「羅依にそんなことを言う女は、あなたが初めてですよ。」
そんな私に、赤髪ではなく、青メッシュが面白そうに目を細めながらそんなことを言ってきた。
『だから何。他の女達と一緒にするなって言ったはずだけど。』
冷めた声色でそう言えば、
「そうでしたね、すみません。」
クスッと笑いながら謝罪が返ってくる。
チッ。この男、いちいち癇に障る。
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