第64話
人だかりが出来ている中心部に目を凝らせば、人混みの隙間から赤と青とキャラメルと金、見覚えがあり過ぎる頭がチラチラと見え隠れしていた。
もう1人、あの茶髪は居ないのか、と思ったが、すぐにあんな奴どうでもいいな、と思い直して、一瞬浮かんだ姿を頭から消し去る。
「何で…、あいつらいつも屋上にいるはずじゃなかった?食堂なんて滅多に来ないはずでしょ。」
真梨が眉間に皺を寄せながらそう呟くが、私も同じ意見だ。今まで、あいつらが食堂に来ることは一度もなかった。噂で聞いたが、いつもは屋上で食べているらしい。
それなのに、何で今日は食堂に来てるんだ?本当、最悪すぎるだろ。
だが、あいつらが座っている席はここから遠い。それに加えてあの人混みだ、私に気付くはずはないだろう。
バレないように早く食べてここを出る、というアイコンタクトを真梨と交わし、出来るだけ気配を消して注文カウンターに向かった。
食堂にいるほとんどの奴等があいつらに夢中のおかけで、割とスムーズにカウンターまで辿り着き、素早く注文を済ませて料理が乗ったお盆を持ち、あいつらと一番離れている端っこの席に腰を下ろした。
やっと安全地帯に避難出来て、ふぅ…と一息吐く。
あの短時間で凄まじいほどの精神力を消耗した気がする。まじで疲れた。
何で私があんな奴等の為にこんなに気を張らなければいけないんだ。ここ数日で急激にストレスが溜まりすぎて頭痛い…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます