第63話
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「琶來ー、起きなさいよー。」
耳元でそんな声が聞こえたと思ったら、そのすぐ後に身体を揺すられる感覚がした。
薄らと目を開けながら身体を起こせば、「もう昼よ。食堂行きましょ。」という真梨の言葉が耳に入る。…何か、デジャブ感が否めないな。
またしても昼までずっと寝てたのか私…。まぁ、昼まで誰も起こさないのは今に始まったことじゃないから諦めるしかない。
小さく欠伸を漏らしながら立ち上がる。ふと周りにキョロ、と視線を動かすが、奴等の姿は見えない。どうやら、私が寝ている間にどこかに行ったらしい。
「何してんの琶來、早く行くわよ。」
立ち上がったまま動かない私に痺れを切らした真梨が、腕を組みながら不機嫌そうに立っている。
『すぐ行く。』
そう返しながら廊下で待っている真梨の元に急ぎ、隣に並んで食堂へと足を進めた。
そして、食堂に着いたはいいものの、
『…何この人の多さ。』
思わずそう呟いてしまうほど、いつも以上に食堂が人で溢れ返っていた。…主に、女達が多く所々で黄色い歓声が聞こえる。
…まさか。嫌な予感が頭を過ぎり、顔が引き攣った。
隣の真梨も察したのか、同じような顔をしている。
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