第53話

思い出せてすっきりしたはいいが、この赤髪が私を呼んだのか?






…だとしたら、この男まさか。






私が昨日の赤髪の正体に確信していれば、ギュッと再び背中に感じる温もりと抱き締められる圧迫感。





そんな感触に抵抗する間もなく、






「…やだね。俺も気に入ったから、羅依にも誰にも渡さない。」






またも意味不明な事を言い放つ金メッシュ。






「…チッ。」





それに対して、仏頂面を更に険しくして舌打ちする赤髪。






…こいつ等、さっきから何の話してるんだ?





私を挟んで訳の分からない会話をしないでほしい。





そう思っている間も、睨み合う男達。





…誰でもいいから、いい加減この状況をどうにかしてくれ。





内心そう呟いた時、助け舟を出してくれたのは、またしてもあの青メッシュ。





「まぁまぁ、落ち着いて下さい2人共。神堂さんが困っていますよ。とりあえず、羅依は殺気を仕舞って、凌央は離れなさい。」






そう言いながら、後ろの金メッシュを引き離してくれた。






それから、






「神堂さんどうぞこちらに。地べたですみませんが、お座り下さい。」







そう言われ、青メッシュに促されるまま赤髪が座っている近くに腰を下ろした。





そして、当然と言わんばかりに私の隣に座った金メッシュをまた鋭い眼光で睨んでいる赤髪。






…もうこいつ等は放っておこう。気にするだけ無駄だ。









で、座ったはいいんだが、さっきから私を睨んでいるあの男は何だ?





…キャラメル色の髪をしてるから、こいつはキャラメルだな。





キャラメルは、可愛い容姿をしているが、私を睨んでいるその目は嫌悪に染まっている。






その横にいる男…、こいつは茶髪だな。





その茶髪は、シャツのボタンを2個程外して胸元をはだけさせていて色気が溢れ出ている。





目が合えば、ニヤリ、と色気たっぷりに笑われ、それが気持ち悪くて咄嗟に視線を逸らした。

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