第51話
そして、そんな青メッシュの言葉で私を抱き締めていた腕が緩められ、やっと金メッシュが離れていく。
はぁ…、やっと解放された。
短時間のはずなのに疲労感が半端ないんだけど。
「では、行きましょうか。」
そう言われて漸く席を立てば、離れたはずの金メッシュが今度は私の隣にピッタリ張り付いてきた。
抱き締められるよりはましだが、正直邪魔で仕方ない。
…が、もう何も言うまい。どうせ今だけの辛抱だ。
私を呼び出した用件を聞いたら、もうこいつ等とは関わらなければいい。
そう思い、放っておく事にした。
そして教室を出る時にチラッと後ろに視線を向ければ、面白そうに笑いながらヒラヒラと手を振る真梨と、唖然とした様な顔の不良達が目に入った。
真梨の奴、絶対面白がってるな…。後で覚えとけよ。
内心そう呟きながら、奴等と共に廊下を歩いていく。
そうすれば、ザワザワとここでも騒がれる。
「何よあの女…!何で幹部の方達と一緒に居るわけ!?」
「ブスの癖に、生意気なんだよ!!」
「やっぱりあの”話”は本当だったんだな!狼鬼が”女を探してる”って!」
「しかもあれ、入学式から超美人って騒がれてる女じゃね!?」
「初めて生で見たけど、やっばー。まじ綺麗。」
そんな声が、チラホラ聞こえてきた。
うるさい奴等だな…。
そんな人気なのかこいつ等。全く理解出来ないな。
そしてそんな声はしばらく続き、やっと静かになったのは屋上に続く階段に着いた頃。
やっと静かになったな、と思いながら、階段を登る。
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