第5話

な…にコレ…。





痛い、痛い…!苦しい…、苦しいよ…!





パパ、ママ、助けて…!!







そう言いたいのに言えず、ただ口からは、「はぁっ、はぁっ。」という荒い呼吸が出るだけ。






と、






「もうー、何して…、!?琶來っ…!?」





呼んでもなかなか来ないから心配したのか、キッチンから出てきたママは、私の姿を視界に入れると、顔を真っ青にしながら駆け寄ってきた。







「…っ、救急車だ!!救急車呼べ!!」







いつもの優しい声じゃなく、低く、荒々しい声でそう叫ぶパパ。






「っ、もしもしっ!!…娘が!!娘が突然っ…!!お願いします!!娘をっ…!!」





いつもの穏やかな顔じゃなく、目にいっぱい涙を溜めながら辛そうな顔をして電話をしているママ。






そんな光景を、何処か他人事の様に見つめる私。






胸の痛みも、息苦しさも、未だに消えてくれない。






何だか、頭がボーッとして、視界もボヤけてきた。











そして、意識を失う直前に見たモノは、悲痛な顔で必死に私の名前を呼ぶ、ママとパパの顔だった。

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