第16話

そして公園から出た時、





――あ、おい、バンダナ、外し忘れてるぞ?





そんなツキの声が聞こえて慌てて左手首を見てみれば、そこにはまだバンダナが巻いてあった。





ほんとだ!外すの忘れてた!と急いでバンダナを外してポケットにしまい込んだ。





危なかったぁ。もう体の一部みたいになってるから、たまに外すの忘れちゃうんだよね。と言い訳じみたことをツキに言えば、





――たまに、って、これで何回目だよ?まじで気を付けろよ?





そんな呆れた声が返ってくるけど、その声の中に嬉しさも隠れていることを、私は知っている。





…コレは、私とツキの、宝物だもんね。2人で1つという、大切な証。





そんな思いを込めて、ポケットの上からバンダナを優しく撫でる。





それから、よし!帰ろ!と歩き始めた瞬間、






「――おい。」






背後から、そんな低い声が聞こえてきた。






『え?』





全く気配を感じなくて、驚いて思わず気の抜けた声が零れながらも後ろを振り返れば、そこには全身真っ黒な服に身を包んだ背の高い男の人が立っていた。






顔は暗くてはっきりとは見えないけれど、さっきの声はこの人だよね?だったら男の人で合ってると思うけど…。






そんな自問自答を繰り返していれば、ツキが臨戦態勢に入るために出てこようとしているのに気付いた。






それを、大丈夫だよ、と抑えれば、心配しながらも大人しくなるツキに、ほっと息を吐いた。

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