第12話
…まさかコイツ、来る気か?
『いやいや、それ聞いてどうすんだよ?もうとっくに居ねぇんだぞ?』
俺がそう言うも、
[いいから教えろ。]
今から来たってもうどこにも居ねぇのに、頑なに場所を聞き出そうとしてくる。
『はぁ…、黒地区にある○○の近くの路地裏だよ。…まじで、今から来たって、』ブチッ
仕方なくとりあえず場所を言い、「まじで今から来たって無駄足になるだけだぞ?」と言おうとした俺の言葉を最後まで聞かずに電話を切りやがったアイツ。
…アイツはどんだけ黒姫の事しか頭にねぇんだよ。
1ヶ月前ぐらいに突然、「黒姫を探す。」とか言い出して、それから毎日のように探し続けているアイツ。
理由を聞いても何も答えねぇし…。
とりあえず俺も探すのを手伝ってやってたけど、ちらほらと目撃情報はあるものの、今まで全く見つからなかった。
そんで今日、黒姫の出没率が多い場所からは一旦離れて、今まで現れてなかった場所を絞り込んで試しに探
しに来てみれば。ビンゴ!俺って天才じゃね?
路地裏で1人、自分の推理力について自画自賛していれば、微かに、遠くの方から1台分のバイクの音が聞こえてきた。
その音は、明らかにこっちに近付いてきている。
まさか…、と思っていれば、路地裏の入口付近で止まるエンジン音。
そして、躊躇なく俺の方に近付いてくる人物の顔が見えた瞬間、「…まじか。」と無意識に呟いていた。
…そのまさかかよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます