第8話
…もう”眠り”についているあの子には、聞こえていないだろうけど。
ふっ…と口元を緩めて、左手首に巻いてあるバンダナをする、と軽く撫でた。
そして一度目を瞑ってから、目の前の男を見据えた。
『さて、と。…とっとと始めようか。』
ゆっくりと口角を上げれば、それが合図かのように一斉に襲いかかってくる奴等。
はっ…。遅っせぇなぁ。
自分に向かってくる拳や足を、鼻で笑いながら全て避ける。
「なっ…、」
目を見開いて驚いている男達を横目に、拳を前に突き出していて脇腹がガラ空きになっている男に蹴りを入れれば、呻き声を上げて吹っ飛んでいく。
そのまま激しい音を立てて壁にぶち当たったその男は、「ごふっ、」と血を吐き出していた。
あーあ…、内臓までやっちまったかありゃ。力加減が難しいんだよなぁ。
またあの子に”やりすぎだよ”って怒られるな…。いや、今は寝てるからバレねぇか。ラッキー、今のうちに暴れるだけ暴れてやる。
そんなことを呑気に考えている間も、次々と残りの男達を地面に沈めていく。
――バキッ
力の限り己の拳を男の顔面に捩じ込む。骨が折れる音が、間近に聞こえる。
――ゾクッ
ゾクゾクとした、何とも言えない感覚が全身を駆け巡る。
あぁ…、ほんとこの感覚好きだなぁ。これだから喧嘩はやめられねぇ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます