【変化】
元旦の日、綾子に夢を話して意気投合して他の話をしとると、珍しく広樹からも電話があって家にきてくれた。
いつも綾子とは一緒に居る事が多かったが、広樹とはほとんど学校で会う事が当たり前だった。
落ち込んどると、気ぃ遣ってくれとると思ったが、そんな広樹に感謝した。
ただのツレなのに、特に話す事もねぇ状態でも、アタシと一緒に居ってくれた。
それもアタシの隣に座っとるだけだけど、それがめちゃんこ有り難く思った。
綾子が用事で来れん時でも、広樹が1人で来てくれて、アタシの隣にずっと居ってくれた。
別に会話をして、気を紛らわすとかではねぇ。
綾子と広樹と3人の時は、いろんな会話をしとるんだけれど、広樹と2人で一緒に居る時は会話もねぇで隣で座っとるだけだった。
不謹慎かもしれねぇが、広樹と2人で居ると緊張して何を話してえぇのか分からんし、心臓がドキドキしとる事に気付いた。
1人で居るときに泣いて目が腫れとる顔を見ても、広樹は何も言わず黙って隣に居ってくれた。
アキラくんの話題は、広樹の中では禁句になっとるのか、あれ以降一言も言わんかった。
こっちからもアキラくんの事を話さんかった。
話をして涙を見せれば、広樹を心配させる事になる。
だから、広樹とアキラくんの関係は全く分からんまま、迷宮入りしとった。
かと言って、諦めた訳ではねぇけど、それを今のアタシには平然とする余裕など全くねぇのも分かっとる。
もうアキラくんの事では、泣く事はねぇと思う。
綾子と広樹のお陰で、だいぶ落ち着きを取り戻す事が出来た。
アキラくんの事では落ち着いたが、それよりもっと大変な事が起こっとる。
それは、今まで以上に広樹のことを好きになった。
これ以上好きになったらアカンとブレーキを掛けとるけど、気持ちとは裏腹で好きになる感情を抑えることができんで暴走しとる。
アキラくんのことを忘れとらんし、忘れられんのに、それでも……めちゃんこ好きで堪らん。
アキラくんのことより、広樹のことを考えると、もっと苦しい。
そのとき、ひろ兄と遊んどる思い出が現れる。
抱き締められる事もねぇし、体に触れられる事もねぇ。
ただ隣に居ってくれるだけだけれど、そんな優しさが苦しい。
他の人に説明しても理解してもらえんだろうけど、アタシにとっては苦しい。
ツレとして心配してくれる広樹の優しい態度が苦しい。広樹の態度は、友達以上恋人未満な関係なんだもん。
そんな態度をされたら勘違いしちゃう。ツレだと思っとるなら、今まで通りで接してくれた方が楽だよ。
好きな人とか彼女にするような態度されたら、どう接してええのか分からん。
2人で居っても抱き締めてくれんし、手を繋いでくれる訳でもねぇ。
そこはツレなんだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。