第16話【カラオケ】
次の日。
昼頃から綾子の家を出て、カラオケに出掛ける前に、昨日の話してたファーストフードに行って、ちょこっと話とった。
「飛鳥、綾子、久し振り、コンビでどっか行くの? もしかして、またケンカするの?」
声のした方を向くと、レディースの人が3人居った。
第一声がケンカとはヒドい言い方だ。
アタシ達に手を振って近付いてきた。
「ちゃうよ。アタシ達の顔を見てケンカはヒドくねぇ。アタシ達は1度もケンカなんってしたことねぇ。遊んどるだけだよ」
「ほだよ。アタシも飛鳥も遊んどるだけだよ。挑発しとると殴られそうになるで、殴って遊んどるだけだよ」
アタシと綾子が笑って文句を言うと、レディースの人たちは驚いた顔をして見とった。
「それにしても悪魔と悪女は有名になっとるけど、みんな名前を知らんで悪魔と悪女と名付けとるんだよ。可愛い顔をしたコンビだと有名だよ」
「それってヒドいよ。確かに『名前を言ったら殺す』とは言っとるけど、悪魔と悪女はヒド過ぎだよ」
「それだけコンビが遊んだヤツが多いんだよ」
「まぁ〜ね。それだけ遊んでくれるヤツも多いからね。今日はカラオケ行って来るで、また話そうね」
悪女と悪魔の噂を教えてくれて笑って話をしとったけど、カラオケに行くことを言うと会話が終了した。
レディースの人たちはアタシ達とちょこっと離れた席に座って、知らん顔をして自分たちの話をしとった。
アタシと綾子はファーストフードを出てカラオケボックスに向かったんだけど、冬休みだったからカラオケをする中学生や高校生が多かった。
予約をして時間まで近くの公園で時間を潰して綾子と話しとった。
アタシと綾子は人が多い場所には居らんようにしとった。
有名になってきとるのは自分たちでも自覚しとる。
中学でも悪魔と悪女の噂が流れとった。
同じ中学の人が、高校生に脅されとるのを何度か助けたのに、そんな噂が流れるから困っとるんだよ。
広樹が知ったら最悪。
だいたい、アタシと綾子は普通の子で通しとるのにさぁ。
もちろん、広樹はアタシと綾子が普通の子だと思っとる。
「飛鳥、あそこ見て、涼子、何か脅されとるよね」
話しとると、突然話が変わって綾子に言われて顎で示された方を見た。
涼子の姿が見えるけど、いつもとちゃう態度だったから、ちょこっと様子を見とった。
「うん、涼子は1人なのに、何で4人に囲まれとるの。それに中学生に見えんよね」
ベンチから立ち上がって、涼子に近付いて行った。
顔を引き攣らせて下を向いとるのに、1人の女が殴った。
涼子が何かをした訳でもねぇ。
無抵抗だったのに殴ったのを見て、アタシと綾子が相手の4人に近付いて行って殴り出した。
相手は関係ねぇアタシ達に、いきなり殴られたことを怒って殴り合いになったんだけど、4人を相手に遊び出して、すぐに終わっちゃった。
「飛鳥、綾子、助かった。ありがとう」
「うん、良かったね」
お礼を言った涼子とちょこっと話をしとると、カラオケの時間になったから別れて向かった。
いつもマコと一緒に遊んどるから、涼子が1人で居るのは珍しいと思ったら、やっぱり待ち合わせをしとったみたいだった。
遊んでカラオケして、アタシと綾子はしっかりストレス発散をした。
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