第7話
そう言い終わるのが早いか、数組の席から食事を終えた人達が、満足そうな顔をしてレジに向かうのが分かった。
ちょうど平日の昼時だったから、仕事をしとる人が多いのも当たり前だよ。
それと重なって終業式だったで、店が混んどることくらい当然だった。
オムライスしかねぇけど、手頃な値段で子供から大人まで好きだから仕方ねぇよ。
これですんなり座れたら、よっぽど料金が高いか、味に問題があるよね。
「美味しかったね」
小学生くらいの長い髪をポニーテールした女の子が純粋な笑顔をして、隣に居るスポーツ刈りをした男の子に言っとった。
建前を並べる大人とは違って、素直な感想を述べとるのだと思った。
「うん、卵がフワフワで美味しかった。また、食べにきたいよね」
慌ただしく片付けとる店員さんが、ソファーで待っとる人を順番に案内してくれた。
順番がきて店員さんに案内された場所に座ると、水とおしぼりとメニューをテーブルの中央に置いた。
色鮮やかで美味しそうな写真を見て、なかなか選ぶことが難しかった。
後で注文を聞きに来てくれることになったんだけど、目移りして決めれんじゃん。
結局ノーマルのオムライスを頼むことにした。
店員さんを呼んで注文をしたアキラくんは、周りを気にしとる感じでチラチラと見回しとった。
高校生の人たちも店の中で順番を待っとった。
オープンしたばっかりだから、みんな食べに来るのは分かっとった。
これだけ混んどっても、すぐに座れたから運が良かったのかな。
テーブルに身を乗り出した格好で、アキラくんは照れ臭そうな顔をした。
「飛鳥ちゃん、ご飯食べたら、ちょっと買い物に行かん?」
「うん、えぇよ」
そのことを言うと、アキラくんはアタシの顔をじっと見て、言いづらそうな感じで居った。
「飛鳥ちゃん、冬休みはどっか行く予定あんの?」
「友達とカラオケに行ったりするかな」
「……正月明けたら、動物園に行かん?」
「うん、楽しみにしとるね」
動物園の話をしとると、店員さんが両手にオムライスをのせた皿を運んできた。
前かがみになっとったアキラくんは、ソファーの背もたれまで体を引いた。
「お待たせしました」
オムライスの皿とサラダが入った器とスープのカップをテーブルの上に置いた店員さんは、営業スマイル満点で軽く会釈をした。
気付かんかったけど、ランチタイムだとサラダとスープが付くみたいだ。
テーブルの端に3種類のドレッシングを見て、サラダにかけた。
スープはコンソメスープだった。
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