第2話
奴が宣う「あっち」とは、所謂「富んだ土地」であることを示すのは言うまでもないだろう。そして今いる寂れた建物の乱立を、曰く「その他の土地」と形容するのだ。
先の述べた「未来の目」もさることながら、最新の建物が聳え立ち、手の行き届いた設備などがあまりあり、なおかつそれらを潤沢に使える経済力がある「富んだ土地」。発展の基礎ともいえよう工業の気配とは程遠い綺麗な都市が、そこまでの成長を遂げるのは何故であろうか。それは誰にもわからない。それこそ内部の情報に精通する必要があるのだ。触れてはいけない気配がうっすらと、ただし確信めいたものがそこらに蔓延っているのを無視できるほど、私の嗅覚は落ちていない。
さても、その「富んだ土地」に入るための条件などは巷で有名である。そして、それが可憐で見目麗しい(私談)来栖シュカが、そしてついでに私が、他のやつらに侮られがちな訳がある。そう、そこにはのっぴきならない理由がある。
「まあ、でも私たちはしばらく無理そうかな、あっちに行くの...だって私たち、能力ナシのスカだもんね。」
「...まあね。」
肩を少し落とし、手をだらりと伸ばす。まるで覇気が感じられないそれは、諦観の姿をありありと表現している。覇気を感じられない。まあ、それも無理なからん事であろう。
私たちは、所謂試験管ベイビー世代である。まあ、実際には先の時代から研究されていたらしいが、実用化に至ったのは結構最近らしい。確か、ここ50年くらいだとか。
そして、私たちが生まれ、自我を持つ頃には、すべての子供に平等の教育を与えるプロジェクトが進行していた。それが、未来機関が開発、提供をした人工知能AIである。曰く、それが教育の一つの完成形だと。
それを未来機関が発表したのが2134年。未来機関が20年以上の年月をかけてたどりついた、人工知能である。それだけの長い年月と資金をかけただけある成果を見せ、世界を震撼させた。私もニュースで見ていたが、その人工知能は人間と遜色ない見た目をしていた。私がまだ幼いころは、人工知能といえばホログラムであったり、よくできた人形のようなものであったが、当時は満足していた。気が付かなければ、人間案外適応できてしまうものである。そして当時、未来機関の頭である東雲が大々的に世界に発表した。売り文句は勿論、「世界を平等に」である。
反吐が出そうだがまだ続く。さて、その教育の平等化に当たり、私たちは親の顔を知る前に、児童施設に預けられ、そこで生活をしていた。そこでも親代わりになる乳母のような存在はいない。すべて先の言った人工知能のロボやホログラムが行っていたのだ。すべてを均等に、誰もを平等にするために人工知能が出した答えは、教育を人間がすることの廃止であったために。
人間がある個人に傾倒すれば、そこに教育の格差が生まれる。人間がある宗教に固執すれば、そこに思考偏差が生まれる。人間がある環境に依存すれば、そこに成長の不均等が生じる。人間という概念に対して、人工知能AIは不平等を見出したようであった。
先の児童施設では、さまざななことを人工知能が指導していた。学問的な教育に始まり、情操教育のためのレクリエーションは勿論、メンタルケアやストレスチェックなどの各個人のケアも行っている。私の記憶では、少なくともそうである。流石に平等を前面に押し出しているだけあって、このあたりの教育のついては、完璧であった。気持ち悪いほどに。
さりとて、ここまでの状況で疑問に思うことが多々あるだろう。しかし思い題してほしい。最初に出た命題は、どうして来栖シュカという可憐に咲く花が、衆愚の視線を独占することに値されないのか、という疑問に対するアンサーであることである。この部分は忘れてはならない。最もおっえ~な部分なのだから。
皆が平等に教育を受けてきた。ならば、「富んだ土地」と「その他の土地」に分類されるのはおかしなことである。それこそAIが嫌う不平等ではないのか。
その歪さの正体こそ、「能力」の有無である。これは少年期~思春期にピークを迎える超能力のようなもので、使える人間と使えない人間がいる。
例えば、能力が使える人間として、先の五十嵐が挙げられる。逆に使えない人間の例として、来栖シュカを取り上げる。これを基準として、人工知能AIは「富んだ土地」と「その他の土地」に人間を分類した。ある程度の能力がある人間は「富んだ土地」へ、能力が実用的でないないしは発現していない人間は「その他の土地」へと。
また、五十嵐などの後天的に能力が発現したとなれば、手順を踏んでの「富んだ土地」への移住が許可される。奴はそれを狙っているのだろう。その手順は、詳しいことは掲示されていないが、まあおそらく未来機関のお眼鏡にかなうか否かの1点だけであろう。なぜなら、人工知能AIが注目している基準がそれのみであるのだから。
兎も角、そのように人間たちは人工知能AIによって分けられた。曰く「差別」ではなく「区別」とのこと。なんとも度し難く、腹が立つ言い分である。
この能力というものがが初めて散見されたのは、2128年のアメリカで起こった人体発火事件のことである。そこでは、ある女性から火柱が上がるという不可解な事件だったらしい。なんでも、何かの活動家らしき女性との喧嘩の最中に、突然女性がろうそくのように燃えたのだとか。なんともおぞましい報道であるというのに、その爆心地である女性は今も平然と暮らしているらしい。奇奇怪怪にて異様な事件である。いや、事件であった。
それが発端とでも言うかのように、その影響が世界中に広まり、すぐに地球を一周した。その結果世界中の人々、特に若者や学生を中心に様々な能力が発現するようになったのだ。もはや、先の重大で尋常ならざる事件は、いつしか日常に溶け込んでいったのである。それが能力者。文字通り、能力ある人間という意味である。
その能力ある人間が集まると言われる「富んだ土地」はそもそも未来機関が2120年ごろから各主要都市を再開発をしていた。その完成予想図はまさに未来都市である。様々な形状の建物が聳え立ち、見たこともないような自転車や車が高速に行き交い、道路は陸のみにならず、空に道が整備され自由に空を闊歩するような、そんな絵空事。特に名古屋や大阪、東京をはじめとした主要都市は劇的に変化するようであった。その発表には当時、様々な人がそこからあふれる未来に思いをはせていたのだろう。そしておそらく、その絵空事は本当になったのだ。
それこそ今、来栖シュカが羨望していることが証明になろう。女子のその視線が生まれるのは、甘いスイーツと、色気のある男と、潤沢なお金、そして夢である。そうと相場が決まっている。
「あっちの世界はそんなにいいものなのかね。結局は人よ、人。無駄に能力あったら面倒ごととか多そうだしね。多分シュカや五十嵐が想像してるより面倒なんじゃないかな、環境とかさ。」
目線を「未来の目」に奪われているシュカを、こっちの世界という現実に持ってくるべく語り掛ける。こちらの世界も、まだまだ捨てたもんじゃないですよ。なぜなら私がいます、と。
彼女は言葉に反応して、「違うの!」と一蹴、同時に奇麗な顔をこちら側をぐるりと向けた。その双眸ははち切れんばかりに開かれており、その慟哭が伺えた。目は口程に物を言うとは言うが、あれは間違いである。口と目は伝えるツールとして同格ではない。今こそ、口が目ほどに物を言う、と私たちは言うべきである。気迫は目でしか語れない。
「違うのよ、それは!人人っていうけど、私あなた以外に親しい人いないのよ!好きな男とかもさ!この街じゃあ私たち学生が少なすぎるのよ!!あとは大人たちばっかりじゃない!おかしくない?!」
「まあ、確かに...」
「大人って言っても、私たちより少し上の世代くらいだけどさ。それでもあっちの方が学生多いわよきっと。能力が発現するのが学生位がピークなんだから。あっちに吸い取られていくのよ。...こっちにも学生いるにはいるけど、別に集まってやいのやいのできるほど多くはないしね、仲いい人ってなるともっと少ないわ。」
彼女は日々の鬱憤をつらつらと語りだす。もはや世間話から逸脱し、その様は愚痴を言いあう過去のサラリーマンさながらである。そんな彼女の痴れ言にも、確かに納得する部分がある。それはこっちの街には子供がかなり少なく、逆にあまりにも大人が多いことだ。試験管で生まれるようになり、女性への体の負担が解決しつつある現代において、ここまで子供が少ないのも、何か人為的な不自然さを感じざるを得ない。
または、子供を育てることが困難であるという経済的な理由が挙げられるかもしれない。しかし、この平等を絶対的な基準とする人工知能AIが経済格差を是というはずもなく、教育に関する費用の大幅な減額を提案し、すぐさまそれが可決されていた。つまり、そのような経済面での家庭的格差はこの現代においては見られないはずである。
「だからせめて、あっちに行ける程度の能力があれば、いろんなことを夢見る世界に行けると思うんだよね。さっきの五十嵐じゃないけど、私にもそういう能力あればなあ...」
「今ある私で満足しなさい。めっちゃ便利よ、マジで、マジで。」
私は彼女に両手をぶんぶんと振りながら、彼女にアピールする。
「へえ、初耳ね。何ができるの?」
彼女が問うと、私は立ち止まり、両手を腰に当てる。ない胸を必死にそらしながら。さながら幼馴染の男の子を待つ世話焼き女房系女子高生である。少女漫画で見た覚えがあります。
「私はね、紐のパンツ結ぶのめっちゃ早くて上手なの。この世界にコンプライアンスとか、倫理とか道徳とかなかったら、自己紹介の時に絶対やってるわ。私、自信、あります。」
高らかに私は宣言すると同時に、彼女は吹き出して膝をついた。どうやらこの勝負、私の勝ちのようだ。別に誰と競っていたわけでもないのだが。
ひぃひぃと口から抜け出す間抜けな呼吸音と整えながら、彼女は立ち上がる。碧眼にまたもや雫が垂れるが、どうやらこっちは怒りや悲しみの織り交じったものではないようだ。先ほどのパンツを見られた時とは違い、心なしか澄んでいる気さえする。
「初耳だけど、もう忘れたいくらいの情報だったわね。」
「何点?この情報。」
「は?3点」
彼女は少し落ち着いたのか、快刀乱麻に両断した。私の渾身のネタであったのだが、まあ事実である。
「そんなぁ...」
私は道端で小さく固まり、丸められた。比喩ではない。
「あとさっき私が”あなた以外に親しい奴いない”って言ったとき、さらっと確かにって言ったわよね。否定しなさいよ。そんなことないって。」
「めんどくさ。だからじゃないの?」
「あなたを消すわ。比喩じゃない。」
ごめんて。私は舌を出しながらシュカに謝罪をする。彼女はため息を一つ。
「はあ...まあ、いいわ。あなたのパンツに関する特技も。...そうそう、パンツで思い出したんだけどさ、あなた知ってる?こっち側にいる変質者。多分能力者なんだけどさ。」
「いや、こっちに能力者が少ないからって、いちいち把握してないよ。」
私はかぶりを振りながら答える。
「いやいや、ただの変質能力者じゃないのよ。通り名があるの。」
彼女は指を立てながらグイっと顔を近づける。良きかほりに失神しないように気を付けながら、私も負けじと言葉を紡ぐ。
「通り名?...変質者に通り名なんていらないだろ。変態とかでいいだろ、変態とかで。」
「いやいや笑えるのよ、その通り名。あなたみたいに恥ずかし気も減ったくれもない人とかじゃないとつかない名称でしょ。」
くすくすと鈴のように笑いながらシュカが答える。その白髪もゆらゆらと揺れる。この話題でしていい女の仕草じゃないだろう。心の中で静かに私は彼女にツッコミを入れる。
「で、なんなの?通り名って?」
「ノーパン抜刀斎。」
「はい?」
「ノーパン抜刀斎よ、その通り名っていうのは。」
私は大きな声で一言。心からの雄たけびをば。
「なるほど!馬鹿みたいな名前だな!!」
「声でか...琴線に触れるより先に気でも触れたのかと思ったわ。」
「言い過ぎ言い過ぎ。」
流石に言葉が過ぎる。彼女にはコンプラというブレーキはないのか。言葉は刃物ぞ。それで私をなめろうにでもする気なのか。いやはや、勘弁願いたい。
廃れて枯れゆく街路樹を横目に、私たちは歩幅を狭める。なぜなら、彼女の話の続きに耳を傾けるためだ。なかなかパンチのある話題に、腐っても私は女子高生。その話の続きを聞きたくなるのが筋というものだろう。否、それもあるといった方が正しいか。
「んで?..んふっ。...その、ノーパン抜刀斎?は何なのさ。どこでそんなこと言うやつがいたわけ?なんかおかしいなって思わなかったん?」
「ノーパン抜刀斎って名前くらいしか私も知らないわよ。多分ノーパンで剣術でもやってる人なんじゃない?さっきもあなたが言ってたけど、もちろん変態よ。当り前じゃない。」
真顔で言うシュカの横顔に、話題と表情の不均衡さを感じて思わず笑ってしまいそうになる。しかし、私は笑わない、笑えない。
ノーパンであろうとなかろうと、剣術使いであろうとなかろうと、それらはたいして問題じゃない。否、もちろん倫理的にも風紀的にも、もろもろその他的にも問題があるだろうが。それよりも彼女の羨望の眼差しは――
「でも、そんな変質者でも、おそらく能力者なのよね。その点においては、ちょっとだけうらやましいかもしれないな...」
「...ああ、うん。そうかもね。」
彼女の羨望の眼差しは、能力というものに集まる。隣の芝は青かったり、その隣の花は赤かったりするというが、自分には持ちえないものというのは、いつの時代も魅力に溢れんものなのだろう。少女漫画に夢を見た、過去の自分がそうだったように。
加えて、その隣の芝が、彼女の夢見る「富んだ土地」の条件に直結するなら、その気持ちもむべなるものということだろう。まあ、それにしてもパンツを剣のように扱い、闇討ちのようなことを仕掛ける、そんな卑劣女を夢見られてもどうかとは思うが。
「そもそもさ、おかしいのよ、ノーパン抜刀斎って名前自体が。どこからそんなことが伝わるのよ。」
ローファーで道端にある石を脇道に蹴りながら私は嘯く。蹴った石は、からからと音を立てて、自身の角を削っていった。その後、丸くなった石が道端の角に消えて行く様を二人で見届けた後、疑問を彼女は口に出す。
「そんなことが伝わるって言うと?どゆことさー?」
「なんやその語尾...」
丸みの帯びた言葉をシュカが口ずさみ、私も思わず素が出る。別に取り繕ってなぞはいなかったが。
「あぁ、...えっとさ。まずノーパン抜刀斎の”ノーパン”の部分って、どうやって見つけたんかなって。人が本当にパンツ履いてるのかって普通分からなくない?」
「シュレディンガーのパンツね。」
「シュレディンガーはパンツ履かないけどね。」
ふはははとくだらなさすぎることで、華の女子高生が笑う。一人は玉のような煌びやかなそれを、一人は玉のようににじみ出たそれを、それぞれの顔に映し出す。
「...それと抜刀斎っていうからには、多分刀とかを帯刀してるんでしょ。見たことないでしょ、そんな人。その時点で不審者よ。」
「まあ確かにね。いくらここがあっちと比べて荒廃してても、まさか刀盛ったやつを野放しにしては置けないでしょうに。そんな奴がいたら、流石に自警団が黙っちゃいないでしょ。あんま仕事してないけど...まあ流石に通報ものよね。」
「そう、そう。だからすべてが不自然なのよ、ノーパン抜刀斎ってやつは。本当に存在するのかって感じ。人工知能AIの監視とかも一応はあるのに、私1ミリも知らなかったしね。」
そうねぇ、と言いながら、シュカは顎あたりに人差し指を当てる。その仕草たるや、翠雨降る朝に窓の外を見つめるセーラー服の少女を連想した。教室で彼女がペンを持ち、窓際で同じようなポーズをとれば、皆が彼女を振り返るだろう。それに値する華やかさが、彼女にはある。
だから、そう、だからこそ私は彼女の能力の神聖視に思うところがあるのだ。そこまで能力にこだわることはなくないかと、あなたの魅力はもっと他にあるぞよ、と。それが発揮されるのは、場所や環境なんて小さなものではないぞと。
彼女と足を踏み揃え、歩幅と肩を合わせ、歩く。偶に「富んだ土地」の方をみる彼女の視線を感じながら。
この時間を邪魔されてはならない。とりわけ、その時間の破壊者が私になってしまうことは避けなくてはならない。
だからこそ、私は言わない、言えないのだ。彼女が気が付くまで。この時間が壊れてしまうことを避けるために。
「というか、人工知能の監視が蔓延ってること自体、なんか私は気に入らないわ。平等化とか犯罪抑制とか言ってるけど、さっきの五十嵐の能力で自己りそうになった時、なんも言わなかったじゃない。何のための装置なのよ、あれは。」
「名目上は自己とかを平等に判断するために、みたいなこと言ってるけどね。そういうもん、って思ってたけど、確かにさっきの五十嵐のやつには、なんかあってもいいよね。ペナルティとか警告とかなんでもいいんだけど。」
うんうん、とシュカがうなづく。彼女は不満を共有できてご満悦の様子。
「一応平等を謳っているわけだし、こっちの不利益はあっちにも返すっていうのが筋なのにね...っと。ごめんね。なんか愚痴になっちゃってた。」
「謝んなよ、別にシュカが悪いわけでもないのに。」
「それもそうね。」
彼女はそう答えると、携帯を取り出し、目的地を確認する。そういえば、私たちはどこかへ向かっている最中であった。女子高生らしからぬその場所こそ、未開の土地たるジャンクショップである。すっかり忘れていた。ノーパン抜刀齋に気を取られすぎていたようだ。
えーっとといいながら、彼女はすいすいと携帯電話をいじり、目的地を確認する。「富んだ土地」の携帯電話には様々な機能、特にAIによるホログラム機能などが一般化しているらしい。しかし、彼女の持っているそれは、特別な機能が多くついているわけではない。液晶のパネルを流れるように画面が交錯する、普通のスマートフォンというものだ。かつてのITの天才が作り出したそれだが、今では古き遺産のようなものになりつつある。
お、あったあった、と若干間の抜けた声が響く。携帯電話の歴史を紐解こかんとしている私の横で、彼女はついに答えを手に入れたようである。
「ああ、あったあった。ジャンクショップ、ジャンク堂、旧三河地区3番地の道沿いだって。結構近いから歩いて行けるわ。」
「マジかよ。道は最初に調べていてほしいけどね。...まあ、歩いていける距離ならとっとと行っちゃいましょう。」
ごめんごめん、と彼女は軽く頭を下げる。彼女自慢の白髪も縦に靡く様を見て、私の髪は敗北を覚えた。そんな思いを拭うかのように、私は髪の毛を一本遠くに飛ばす。髪質の敗北を覚えたためだ。私とて、髪が命の女子高生。焦燥感に焦ることもあろう。しかし、そんな憐憫は抜け毛とともに、風に乗ってふらふらと彷徨い消えていけ。忘れることが人間の美徳だ、と心の中で私は口ずさみ、彼女の後を追う。
固結びの解き方 バター醤油 @butter-soyA
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