第5話緑レンジャイの弟子

緑レンジャイの林治虫80歳は、庭のベンチに座り、紹興酒を飲んでいた。

鼻の頭が赤い、白髪のじいさんだ。

そこへ、若者が現れた。


「すいません、緑レンジャイの林さんでしょうか?」

若者の背は186cmで、体格も良く、何より23歳と若かった。

緑レンジャイの林は黙って酒を呷る。

「あなたが、伝説の酔拳の達人ですね」

「あぁ、そうだ。何だ、若いの。わしに何の用じゃ?」

「僕の名はゼットリー・チェン。僕を弟子にして下さい。悪の軍団に父親が殺され、この手でカタキを取りたいんです」

「……わしは、弟子は取らん」

「あ、そうっスか。じゃ」

「待て待て。直ぐに諦めんなよ!」

「じゃ、弟子にしてくれるんスか?」

「わしゃ、弟子は取らん」

「じゃ、来て損したわ。あざっす」

「待て待て、ガキ。お前、本気でカタキ取りたいのか?」

「はい。ガチのカタキっす」

「言い方が軽いんだよ。お前何だけっけ?

父親のカタキだろ?何でグイグイ来ないんだ?背負ってるもの、大きいよね。直ぐに諦めるなよ」

「じゃ、弟子にしてくれるんスか?」

「わしもな、若い頃、悪の組織に親を殺され、ゴレンジャイとして修行し、敵と戦ってきた。そう言う面から言うと、わしらは同じ様な関係だ……」

「……」

「何で、ホットドッグ食ってんの?」

「ちょっと、腹減って」

「マジかぁ〜、マジでかぁ〜。今、食っちゃいけないタイミングだろ」

「じゃ、僕を弟子にしてくれるんですね?」

「お前が、厳しい修行を耐えられるなら、弟子にしても良い」

「マジッスか?」

「あぁ〜、マジだ」

「やった」

「ヨシッ!今から修行だ」

「今日は、これで帰ります」

「え?え?何で?」

「今日は、弟子にしてもらうのが、目的でしたから。修行は明日から……あ、明日から土日なんで、来週の月曜日からお願いします」

「修行に週休2日が関係あるか!バカ者」

「Z世代なんで、ヤル気しないんスよ」

「よし、ゼットリー・チェンよ、月曜日から厳しい修行じゃ」

 

2年後

「良くぞ、2年間厳しい修行に耐えてきたゼットリー・チェンよ。もう、お前に教える事はない」

「そうッスか。あざーす、じゃこれで」

「待て待て、何で直ぐに帰るんだよ」

「だって、修行終わったんすよね?」

「あぁ、終わりだ」

「おつれした〜」

「待て待て、帰るなよ!何だよ、2年間一緒に修行してきて、なんか感じないのか?」

「ずいぶん、掛かりましたね」

「お前が、週休2日にしたからだ。それに、1日3時間って、どういうこった。だが、師弟愛って、生まれないのか?絆とか?」

「特に無いっス」

「勝手にしろっ」


翌朝

「事件か……ゼットリー・チェンだと?何々、女性の下着を盗んで逮捕?」

2年間教えた、ゼットリー・チェンは女性の下着泥棒で逮捕されていた。

緑レンジャイは、落胆した。

だが、再びゴレンジャイとして活躍することを決心した。

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