第3話青レンジャイの意地

青レンジャイ。

生島哲也76歳。

ゲートボールをしていた。しかし、今日のゲートボールは一味違った。

介護実習生の若い女の子3人のがゲートボールに参加していたのだ。

「生島さん、頑張れ!」

と、若い女の子に声を掛けられて、喜んでいた。

女の子にカッコいい所を見せつけて、第二の青春を謳歌したい。

「若いの、見てな!」

青レンジャイは、第1ゲートを通過するために、構える。


フーッ、緊張するわい。しかし、こっちは、ゲートボールの手練れ。

第1ゲートを通過して、女の子をメロメロにしてやる。


ブリッ!


生島は緊張の余り、放屁した。

女の子達は、ゲラゲラ笑っていた。しかし、生島は血の気が引いた。

やっちまった。漏らしちまった。


「ちょっと、生島さん。一応本番なんだから真面目にしんしゃい」

「わ、分かった」

「哲也さん、立ち方変よ!」

「何が?」

「生島さん、あんたうんこもらしたね」

「辞めてよ!変な言いがかりは。田中さん、冗談キツいよ!」

「だって、生島さんのジャージ膨らんでいるじゃない」

「ノンノン、今日は実習生がいるんだよ!そんな、恥ずかしい事するもんか!」

「生島さん……あんた、1本まるまる漏らしたね?」

「ちょっと、中村さんまで。あんまり言うと怒るよ!ねぇ?実習生の女の子達」


「い、生島さん。ちょっと臭いです」

「な、何を馬鹿な!」

「生島さん、私たち今日が最後の実習なんです。この後、皆さんで会食なので、一度、着替えてきて下さい」

「わ、分かった。ホントは漏らしてないど、こんな芋ジャーで会食は恥ずかしいからな。着替えてくる」 


青レンジャイの生島はラクーターに立って乗り、一度帰宅して、シャワーを浴びて着替えた。

生島は蝶ネクタイをして現れた。

「さ、実習生のみんなよ!食事に行こう」

老人クラブの連中と実習生は、居酒屋で乾杯した。


「生島さん。老人戦隊・ゴレンジャイの青レンジャイらしいですね」

「まぁね。1975年に放送が終ってから、敵とは戦っていないけど」 

「正義の味方って憧れます」

「なんだい?アスカちゃん。わしに恋でもしたのかな?」

「青レンジャイの生島さん。今度、変身姿を見せて下さいね」

「ま、うちには、うるせぇババアがいるが、根はいいヤツだ。遊びに来なさい」

「え?ホント。黒十字総統との戦いの話しを聞きたいなぁ〜」

「黒十字総統……、懐かしい」

「変身のポーズだけ、お願いします」


老人クラブの連中は、また、始まったかと生島を眺めていた。実習生が来るたんびに変身ポーズをとっていた。


「情熱と愛情の青レンジャイ、信号は黄色で停まります青レンジャイ、生物なまものは傷む前に食べる青レンジャイ、痴漢はしません青レンジャイ、秘密戦隊は過去の仲間、変身!ドゥエイ!」


「カッコいい、生島さん。さっき、岩ガキ食べてましたね」

「うん」

「傷む前に食べるんですよね」

「そうだ」


生島はトイレに立った。

トイレで、唸っていた。岩ガキは傷んでいたのだ。

「ハァハァハァ、ダメだな。この季節のカキは。ぐのぅ!ヨシ、出し切ってしまえ」

30分後。

「生島さん、このあと2次会だけど」

「行く行く」

「実習生の女の子は帰るみたい」

「じゃ、行かない。ハウッ!」


生島はまた、トイレに走った!

「今日は強烈だ!だ、ダメだ。2次会はいけない。あ、天馬博士の腸路丸ちょうろがんを飲もう」


青レンジャイは腸路丸で復活した。

トイレから出てくると、皆んな店を出ていた。

「青レンジャイさん」

「あ、アスカちゃん」

「私、2次会行かないけど、生島さんともっと話しがしたくて」

「じゃ、行きつけの焼き肉屋に行こう」

「はい」


青レンジャイこと、生島哲也は第二の青春を謳歌していた。

夜遅くまで、青レンジャイと実習生は飲んだのである。という



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年10月23日 09:00
2024年10月24日 09:00

老人戦隊・ゴレンジャイ 羽弦トリス @September-0919

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ