第2話桃レンジャイの休日

桃レンジャイは休日、畑仕事をしていた。

まだ、残暑の残るこの季節、一生懸命に畝を作っていく。


「おばあちゃん、ただいま〜」

と、孫の創一が帰ってきた。創一は大学生だ。

「あらぁ〜、元気にしていた?」

と、桃レンジャイは屈めた腰を伸ばすと、上半身裸だった。


「ばあちゃん、服着なよ!」

「暑いから脱いだんだよ〜」


桃レンジャイの乳は垂れていた。

この歳になると、恥ずかしさもへったくれもない。

夕方、畑仕事を終えて風呂に浸かり、息子夫婦と創一と4人で晩飯を食べた。

「うんめぇ〜」

と、桃レンジャイはウイスキーを飲む。周りはビールなのだが。


「創一、このピーマンはばあちゃんが育てて採れたもんじゃ」

「へぇ〜、そうなんだ」

「お義母さん、このピーマンはスーパーのピーマンです」

「おう、そうかそうか、わたしゃ、ピーマンなんて作って無かった、アハハハハ」


「ばあちゃん、このトマトは?」

創一が箸でトマトを掴む。

「このトマトは、正真正銘、ばあちゃんが作ったんだ」

「お母さん、これはオレが今日、農協で買ってきたヤツだよ」

「あら?私のトマトは?」

「お義母さん、野菜なんて作ってないでしょ?畝ばっかり作って、野菜植えないんだから」

「光子さん、何かい?私がボケてるとでも?」

「そんな事言ってません。あなた、最近お義母さん変よ。昔、ゴレンジャイだったとか言ってるの」

「おばあちゃん、昔何レンジャイだったの?」

「桃レンジャイだよ」

「天馬博士は元気なのかな?」

「御年、95歳でバリバリよ!」


湯田清子72歳は、ウイスキーをがぶ飲みした。

「ち、ちょっと、お義母さん。飲み過ぎじやないですか?」 

「そんな事、ねーべ?なぁ?創一。寝屁はするけど」

「お母さん、おばあちゃんに飲ませてあげなよ」

「お義母さん、酔っても知りませんからね」

「光子さん、私に宣戦布告かい?」

「それでも良いです。あなた、最近お義母さん変よ!明日、病院へ連れて行きましょうか?」

「オレはただ、いつも通りだと思っているけど……」

「この前なんか、老人戦隊・ゴレンジャイって、大声で叫んで、ピンクのマスクしていたのよ!隣の大崎さんの奥さんが、もう、病院連れて行った方が良いって言ってるの」


湯田清子は箸をテーブルにバンッ!と置いた。

「私、秘密基地に行きます。そこで、天馬博士に若返りの薬もらってきます。光子さん、もうあなたの言いなりにならんわよ」


桃レンジャイはラクーターで秘密基地へ向かった。

そこで、天馬博士に言った。

「うちの嫁が、私がゴレンジャイの仲間だと信じてくれないんです。最近、威張り始めて。若返りの薬ありませんか?」


天馬博士は、プッチンプリンを食べながら、

「あれを飲めば良い」

と、『スペシャルドリンク』を指差す。

桃レンジャイはスペシャルドリンクを飲んでみた。

すると、力がみなぎってきた。

桃レンジャイはお礼を言ってラクーターで帰宅した。

夜の22時。


桃レンジャイは鏡を見た。

そこには、普段と変わらぬ顔があった。

湯田清子72歳。

ビョーマより、光子さんの死闘が始まった。

寝る前に、ラクーターのバッテリーの充電をした。

頑張れ!桃レンジャイ!



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