老人戦隊・ゴレンジャイ

羽弦トリス

第1話赤ゴレンジャイの憂鬱

我らが、街の安全を守るダメ戦隊・ゴレンジャイはビョーマと言う悪の組織と戦っている。

赤レンジャイ高田賢三72歳

青レンジャイ生島哲也76歳

黄レンジャイ乾慎太郎76歳

緑レンジャイ林治虫80歳

桃レンジャイ湯田清子72歳


彼らが、ゴレンジャイのメンバーだ。

彼らの主治医、天馬博士は毎月血圧の薬や神経痛の薬を処方し、特殊薬品R1号でゴレンジャイは若者よりも体力があり、素早く動ける。

5人は普段は、ラクーターという老人が使う歩行機で移動している。


ある日。

赤レンジャイが久々に他の戦隊から借りたバイクで走っていた。


「そこのバイク、左に寄りなさい!……前の赤いバイクの運転手さん、左に寄りなさい。……そっちは右!左だよ!止まりなさい」


赤レンジャイは路肩にバイクを停車させた。

警察官がパトカーから降りてきた。


「運転手さん、ここ何キロで走ってたの?」

「えっ?」

「だから、何キロで走ってたの?」

「私は安全運転なんで、20キロです」

「20キロ?ここ、高速道路って分かってるの?」

「はい」

「最低速度は50キロだよ。20キロで走っていたら、後ろの車に迷惑なんだよ。ちょっと聞きたいことあるからね。免許証見せて」

赤レンジャイはうろたえた。警察官は厳しい目つきだった。

「免許証って、何ですか?」

「え?免許証は免許証だよ」

「持ってません」

「ヘルメットは?」

「一応これかぶってますが」

赤レンジャイは被っている、マスクを取った。

「これ、マスクじゃねぇか!こんなんで、転んだらどうすんの?見てみりゃ、いい歳こいて。名前は?」

「な、名前?赤レンジャイです。知りませんか?」

「何で、オレが知ってんだよ。で、名前は?」

「た、高田賢三です」

「歳はいくつ?」

「ダメ戦隊・ゴレンジャイの放送があったのは1975年でその時、23歳くらいだったんで、72歳ですかね?」

「オレに聞かれても、分かんねえよ。職業は?」

「一応、正義の味方として働いています」

「正義の味方?」

「じ、じゃ自由業で」

「何が、正義の味方だよ。全くもう、で、住所は?」

「じ、住所?」

「住所だよ」

「一応、秘密基地なので、秘密です」

「……お前、これ改造バイクか?」

「え、えぇ。他の戦隊に借りたもんで」 

「改造車って乗ったらいけないんだよ。ちょっと、おじさん、オレに息を吹き掛けてみな」

「ハーッ」

「うわっ、くせっ。飲んでんな?」

「いや、久しぶり馴染みの戦隊と会ったもんで、一杯キュッと……ね」

「免許証はねぇ、改造バイク、飲酒運転。おじさん、逮捕するから」

赤レンジャイは両腕に手錠を掛けられて、パトカーに乗った。


後日、天馬博士の尽力により、赤レンジャイは解放された。

こんな戦隊モノがあっても良いのだ!


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