第8話 EXスキルと……
攻撃もいい感じに決まったところで次は大技だ。
スタミナはなにもせずに立ってればちょっとずつ回復する。
座ればもっと回復しそうだが、そうはいかない。
格闘でこのままいくなら回避は重要だろう。なにせ重装備タイプじゃ肝心のAGL……敏捷性がいかせない。
当たらなければこん棒ストライクで恥をかくこともない。
それに回避してからの攻撃で
……カウンターだ。
カウンターは相手の動きを読めないと難しいって聞いたことがある。自分の動きに合わせやすく誘導したりするってな。
多分、最も俺向きの攻撃だろう。
それがあるから格闘をやってみようと思った。
こいつらの攻撃や速度はもう把握した。
まずはこん棒持ち、行くぜ……!
ダッシュで詰め寄ると三匹前に出て来た。
それぞれバラバラに攻撃が来る。ギリギリで回避して……なんだっ!? 動きが少しゆっくりに見えるぞ。これなら! やっべ、すれすれ……体が前のめりになっちまう。踏み込み過ぎた!
「決まれええええええええええええーー!」
『
……ゴブがドポールの壁まで吹っ飛んでった。
感触がえぐい。なんつー威力だよ、今の技。
ジャストフローってのがゆっくり見えたあれか
もう
さらに今度はこっちから追撃だ。もう
『スキル、カウンターを獲得しました』
こっちは基本スキルか。やっぱさっきの偶然だわ。残り
「ギー、ギギーー!」
「なんで勝ち誇ってんだ! おら来い!」
後ろにこん棒持ちが三匹。前方に短剣持ちが四匹の合計七匹。
こん棒持ちの数をかなり減らせたが、
……こんだけリアルに作られてるんだ。その辺にあるものは道具、だよな。
適当な石、ガラクタ類を拾い、七匹のゴブめがけてぶん投げる!
「おらまとめて全部来いや、コラァー!」
『ギキーーーー!』
数が少なくなり囲まれてる状況からは離脱できた。
俺の近くにはエスカレーターが見えてるんだわ。
動いてねーけどな。
そこを駆け上がると……後は分かるよな。
『ギキーー!』
「数集めりゃいいってもんじゃねえ。頭を使えよな、ゴブ共。くらえ、ドミノ倒し蹴り! ……なんて技ねーだろうけど」
七匹全てが俺を追って来て、手前の一匹を蹴り落としたらキレイに全部道連れ。
っしゃあ! 時間は……まだ
これなら報酬も期待できるんじゃねーの?
っと回復薬あったよな。使っとくか。
回復薬(試供品)とかいう名前で一回きりか。
ドリンクタイプで……「不味い! んじゃこりゃあ! 毒じゃねーだろうな……試供品だからか? おい運営ーー!」
ほうれん草をまるごとすりつぶして飲んだみたいな味だった。
これ、絶対良質な奴だと美味いとかそういうオチだろ。味覚連動をフルに楽しめってか。
つか、どこで回復薬手に入れるんだ?
さすがに買えるよな。
「ふう。報酬は……あれ、時間進行止まってるのに、クリアにならない?」
「そこから離れて!」
「……はい?」
クラブセポ立川の上方から叫び声が聞こえそっちを向くとやっべえ状況に気付いた! 急ぎその場を離れると……立ってた場所にでかい斧が突き刺さった。
投げつけられた方向は壁からだ。その壁には青い巨大なゴブリン。別のゴブリンが黄色い目でこっちを見ていやがった。
【アナザーアディショナルクエスト、裏チュートリアルのボスを倒せ】
「アディショナルクエストぉ!? つーかボスまでいんのかよ! ゆっくり確認する時間くれぇ!」
さっきまでとはでかさも攻撃方法もまるで違う。
再度エスカレーター下に降りたが、どうする。
あのでかい斧、くらったら死ぬだろ。
あれ、目の前に妙な画面が。なんだこれ。
『ダッシュ様、パーティー申請が届いています』
「いたのかよオメガさん! パーティー申請? チュートリアル中にできんのか、そんなこと」
『通常はチュートリアル進行後にある場所で初めて行えるようになります。こちらは特典アイテムからのお誘いです』
……特典アイテム? はて。
なんのことだったかな。
思い出したくなくて頭が痛いんだけど。
「さっさと申請受理しなさい! ウエーブが終わったこのタイミングじゃないと入れないの!」
「くっそ、このままだったら死にそうだし、言うとおりにすりゃいいんだろ!」
つか、申請画面が邪魔なんだよ! 前見えねっつの! こうなりゃやけくそだわ。
絶対クリアしてやるからな、裏チュートリアル!
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